たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

林真理子著『テネシーワルツ』

この昭和の終わりに発表された小説を20年ほどの間に3形態で読んでしまったことになる。単行本、文庫本、そして文庫本を底本にした電子書籍。スタアが出先で振袖の着付け直しができなくなったところに洋服を持ってかけつけ、その表情の不潔さにゾッとする、と…

海を渡る「ジャワカレー」湊かなえ『往復書簡』から

そう、アメリカで入手できる日本のカレールーの中でも私の観測範囲ではジャワカレーが一番人気だ。この彼のようにあえて「ジャワカレー」を指定する。他のと比べて高めなことが多いが、こくまろよりゴールデンカレーよりジャワカレー。最悪妥協して一部の米…

幸福な食卓から

初めて手に取った瀬尾まいこ氏の小説。大変よかったのだが、兄妹で「愛おしい」「ぎゅっとしたい」と言い合うのが気持ち悪い。フィクションだけど。フィクションだから。 最近、空腹だけど何も食べたいものが思いつかない、無理には食べたくない、みたいな状…

ご飯食べた?『僕の狂ったフェミ彼女』

韓国の小説を読んだのはたぶん初めて。LAのコリアン系の友人たちはみんな礼儀正しくて大好きな人たちなのだが、確かにちょっとルッキズム、家父長制に縛られているな...という傾向はある。 ただそれは日本も同じだし、米国から韓国のエンタテイメントの表象…

林真理子『ミルキー』

些末なことだが、会話の中で「カレーライス」とは言わないよね。でも、中学校で美術の先生と理科の先生が結婚することになって、異動が決まったほうの先生が朝礼で挨拶に立ち、「みんなの目が三角形になってるんだけど...。XX先生(お相手)とはパチンコに行…

『日の名残り』夕食として申し分のないサンドイッチ

原書でしか読んだことのなかったイシグロの邦訳を初めて手にとって感激した。解説で丸谷才一が述べているように「土屋政雄の翻訳は見事なもの」。私は『アンネの日記』などの深町眞理子氏の翻訳が好きで書き取って勉強したりしているのだが、土屋氏のテキス…

湊かなえ『母性』から

「当時の少女マンガの主人公はこれが好きだったし、タイトルにもミントという言葉はよく使われていた」←わかる。荒川静香氏が歯磨き粉みたいで苦手だと言っていたっけ。 そんな状態で、喫茶店で売っているケーキを2つ詰めてもらった箱を、お母さんと一緒に食…

『燕は戻ってこない』から

『東京島』(何も覚えてない)以来、10年ぶりに手に取った桐野夏生。最近の作品は、冒頭の5ページで無理になったりしたのだが、今回本作を読むことができて、ずっと書き続けてくださってありがとう、という気持ち。面白かった。終わりもすごくよかった。私も…

富士日記(57)ついに完結

中断を経た終盤はやや毛色が変わって夫氏のセリフの書き取りが増え、初めから読んできた読者にとっては『エースをねらえ』11巻以降のような寂しさがある。 この「おいしいと言う」の連打が「あめゆじゅとてちてけんじゃ」っぽい。 9月14日裏の氷川様の祭礼。…

富士日記(56)私もごめんなさいと言わない

来訪者にパイナップルとコンビーフの罐詰をあげて喜ばれる、というのは微妙に戦時中っぽい。 8月22日(日) 快晴朝食 麦飯、味噌汁(大根)、炒り豆腐、焼肉、いんげんと玉ねぎ中華風サラダ、切干大根とあぶらげ炒め煮、桃。夕食 早めに、焼きにぎり、さけ。…

富士日記(55)天ぷら、奈良漬、たい焼き

思えば、寿司やすきやきだけにとどまらず、大人になってから好きになった食べ物は本当に多いなあ。天ぷらも奈良漬もたい焼きも全然興味なかったのよ、子どもの頃は。 朝 麦飯、豆腐味噌汁みょうが入り、さつまあげ大根おろし、切干と豚肉いり煮、きゅうりト…

『南相馬メドレー』と「お父さん、違憲なの?(目に涙)」

「フルハウス」は日本に行ったらぜひ行きたい書店。前回帰国したときはSNSなどでよく目にしていた大阪の隆祥館書店に足を運んだが、ネット上の情報のイメージと裏腹にあまりに小さなところでびっくりした。でも7冊買ってトランクで持って帰ってきたけどな。 …

富士日記(54)すいみつ桃、ぶどう、プリンスメロン

このあたりを読むと、山梨の甘い果物も糖尿の原因になったのではという感じ。 田中角栄の拘置所食は理想的では。 6月30日(日) 雨朝 麦ごはん、けんちん汁、とりささみバター焼、紫キャベツ酢漬、プリンスメロン。昼 トースト、とりスープ、果物ゼリー。夜 …

山内マリコ『かわいい結婚』ズワイ蟹のトマトクリームのタリアテッレ

2編目の「悪夢じゃなかった?」がよかった。男女の関係として理想的。だから夢なんだとはいえ。 グラタンとタリアテッレ食べたーい。 都会の有名な洋菓子店で何年も修行も修行したという職人が帰郷し、実家の裏に作ったという小ぢんまりしたパティスリー。ロ…

富士日記(53)糖尿病対策

糖尿病になりやすい日本の食習慣...。1型糖尿病は社会文化病だよね。金持ちも貧乏人もそれぞれ別の理由でかかる。アメリカに来てから知人2人を糖尿病でなくした。1人は爪先を切る手前まで行って亡くなり、もう1人はせっかく移植を受けられたのに数か月で力尽…

富士日記(52)「カツ丼が270円でカツライスが150円なのはどうしてだろう」

植木屋さんのじゃがいも弁当を「とてもおいしそう」という百合子さん。日本の見本ろう細工、新しい飲食店にはほぼないだろうけど、意外と廃れないですね。すごく面白いカルチャーだと思う。工場は一度行ってみたい。 4月23日(日) くもりのち雨朝 ごはん、…

金原瑞人『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』

いつからか積ん読になっていたのだが、本を減らしたいと思い苦痛を乗り越えて読みきった。こういう微妙な雑談が長い翻訳講師いる。縦書き・横書き考は収穫。 父親は釣りが大好きだったが、釣って帰った魚はよく自分でさばいていた。そしてそのうち、息子にさ…

富士日記(51)颱風

「颱風」。この本で初めて見た漢字表記。きちんと活字があって素晴らしい。 すきやきと言えば、昨日Hマートで買ったブタバラにハングルですきやきと書いてあるのが読めて嬉しかった。どんなあんぽんたんでも10日で読めるようになるというハングルだが、私は1…

富士日記(50)おいしがって汗を出す

西海岸ではとりあえず冷凍の巨大鰻が手に入る。先週もうちのアメリカ人が1人でどんぶりを作成して嬉し気に食べていた。私は本当においしい鰻というものを食べないまま人生を終える気がする。イメージとしては浅草で扇ぎながら焼いてるやつ...。獲れないとい…

富士日記(49)おはぎ

おはぎは成人してから美味しいと思い始めた食べ物のひとつ。大人になるっていいよね。 6月3日(木)くもり、夜になり雨朝 ごはん、鮭と卵と玉ねぎの油炒め、じゃがいもとわかめ味噌汁、みつばの酢味噌和え、夏みかん。昼 カレーライス。私はドーナツを食べる…

富士日記(48)つくしの煮たの、わらびおひたし

結局まだつくしを食べたことがない。 4月13日(火)晴朝 ごはん、じゃがいもとニラ味噌汁、コンビーフ、キャベツ酢漬。昼 ホットケーキ、スープ。夜 ごはん、のり吸い、なまりの煮たの、卵中華風オムレツ、ニラのおひたし。(中略)私は、昼、おかゆ。夜、お…

富士日記(47)お弁当散らばし事件

このお弁当散らばし事件、緊張感が伝わってきてすごくイヤ。別に連れ合いが暴力的になっているわけじゃないけど、百合子さんの味方をしてしまう。 10月25日(日)快晴のち曇7時に起きる。主人は早くから起きていて、昨夜のすいとんを食べて散歩に行ってきた…

富士日記(46)ウインナカレー

今、イースター前の断食中なので、何を見てもうまそう。でも、ウインナが半切れ入った食堂のカレーはまずそう。 9月29日(火)くもり、時々雨前6時東京を出る。霧雨。石川で、ちらし弁当一つ、談合坂にて、釜飯一つを買い、談合坂に車をとめて、車の中で食べ…

富士日記(45)ケーキ店アルプス

先日の「サニーデ」に続き、「アルプス」っていかにも地方の昭和のお店の名前でいいわー。看板のフォントが懐かしそう(勝手なイメージ)。富士山麓でなくてもありそうで。 「命の母」という薬を知ったのは小林製薬が引き取ってからだが、この名前については…

富士日記(44)自慢焼

鯛焼きの円形版のお菓子の名称についてはたびたび話題になるが、「自慢焼」は初めて聞いた。 店売りのおにぎりって、型で抜いてあるでもなんか美味しいよね(コンビニ・スーパーのおにぎり除く。アメリカでは日系スーパーにも売っている。ナイーブだが、米を…

富士日記(43)駅弁

「駅弁の魚のフライというのは。しんみりとした味がする」とのこと。昔、まだ500mlペットボトルがなく(あの規制は続けるべきでしたね)、お茶がコップ・持ち手付き容器で販売されていた頃の駅弁は泣きたくなるほどまずかった。俵型ご飯がべったりくっいてい…

柚木麻子『けむたい後輩』と寮の食事

これを読んで、私も大学に入って最初の2年間は学生寮で夕食を出してもらっていたことを思いだした。と言っても、忙しくなってからは提供時間中に帰れずほとんど食べられなかったが。小学校の給食並みの内容だったが、途中で作ってくれる人が変わってから目に…

富士日記(42)サニーデ

「サニーデ」っていかにも地方の商業施設の名前って感じでナイス。検索したら今も頑張っておられるようで素晴らしい。 12月2日(火)晴、風つよし朝 ごはん、コロッケ、さといもとわかめ味噌汁、にしん粕漬。昼 うどんバター炒め(コンビーフと玉ねぎ入り)…

富士日記(41)「カフエーのようですね」

写真に残っている武田荘の色硝子は本当に素敵だ。「戸祭さん」の「カフエーのようですね」というコメントも実にイメージがふくらむではないか。作業に来た大工さんと家の中で夕食をともにしているのもいいですね(そうするしかないとはいえ)。 11月7日(金…

『ここは退屈迎えに来て』若いって恥ずかしい

ここに出てくる若者には共感しないが、エレメントに自分自身の過去を思い出させるトリガーが多い。塾講師やっててひどい失敗をしたとか自意識過剰だったとか親がかりで生きてるのに偉そうにしてたとか。 若いってつらいよね。曲りなりにもあれが過去になって…