たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

Entries from 2015-06-01 to 1 month

砂漠で朝食を アガサ・クリスティー 中村妙子訳「春にして君を離れ」

松本清張ばりに面白いユニークなサスペンス。発表当時はメリー・ウェストマコットという別のペンネームで出されたほど、誰も殺されず、誰も探偵のマネゴトをしない。で けれども日常にひそむ秘密、真実が、時には一番コワーイのである。人生に満足しきってい…

メシ作りの耐えられない軽さ 神谷美恵子「神谷美恵子日記」

朝阪神ビルの下でコーヒーを、昼ナンバの中華料理やでワンタンとブタマンと、すべてこの世の名残と言った気持で味わった。 昼食にまぐろのさしみ、きゅうりとかにの三杯酢。酒粕汁、父上午後入浴、ひるね。私は又食料の買物。 Rのたんじょう日。月足らずの律…

コンビニのサンドイッチが懐かしい 五十嵐貴久「年下の男の子」

例の黒服の男が食前酒を運んできた。すぐ後ろから、作務衣のような服を着た若い男が前菜をテーブルに並べてくれた。「左から、タケノコと湯葉のポワレ、壬生菜と鮎の煮浸し、空豆とゴルゴンゾーラチーズとフォアグラのパテ、一番右が浅蜊のソテー、ガーリッ…