たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

Entries from 2020-09-01 to 1 month

脂ののった会食シーン 林真理子著『最高のオバハン 中島ハルコはまだ懲りてない !』

『愉楽にて』でも高値こいた記述がされていた村上開新堂のクッキー。私がおばあちゃんちで食べたときは、期待を上げ過ぎたこともあってか、「ブルボンと言われても気づかん...」と思った。というか、個人的にはモロゾフとかヨックモックのほうがおいしいと思…

雪冷え、花冷え、涼冷え、日向燗、人肌燗、ぬる燗、上燗、熱燗、とびきり燗『ファースト・プライオリティー』

日本酒を飲みたくなること必至。まるで真水のような質の高い日本酒を。 「お、いい匂い。今日は何?」姉がいつもの時間に帰って来て、台所を覗きそう聞いてきた。「小鰺のよさそうなのが売ってたから南蛮漬けにした。あと、そら豆とエビの炒め物と、カボチャ…

70年代 皇室の食卓『陛下、今日は何を話しましょう』

学習院のカレーも生協だろうか。銀座のとんかつ~ 食堂と思われるその部屋は和室になっていて、細長い大きなテーブルがありました。ただし、椅子の部分が掘りごたつ式になっているのです。(中略) 海外からのお客さまには和室で正座して食事をとるのは難し…

記憶に残っていた場面 山本文緒『シュガーレス・ラヴ』

「ねむらぬテレフォン」の一節で、この短編集は既読だと気づいた。そして、鮮烈に記憶していたあるラストシーンが「夏の空色」のそれだったことも。見終わった瞬間に忘れる映画、再読であることに気づかないまま読み終えてしまう(読書メモを見て唖然とする…

ひなあられとクリストフ 山本文緒『そして私は一人になった』

山本氏はうつに苦しみ、「楽しい」と心から思えるようになるまでの日々を日記として発表している。本書は時系列としてはその前の時期の記録である。一般向けパソコンの黎明期。まだ彼女もワープロを利用。飲み会である人に「編集者に原稿を取りに来させるよ…

狭くえげつない東京『パレード』

トーストが食べたくなった。地元には最低限でもヤマザキレベルの美味しい食パンがないので、あまりトーストを食べない。 それから、東京の狭さ、怖さを思い出した。7年近く住んで当時は怖いと思ったことなどなかったのに。 本作は当然のように映画化されたよ…