たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

Entries from 2021-04-01 to 1 month

固定電話と「ハイミス」 林真理子『さくら、さくら おとなが恋して』

携帯電話なき時代、オフィスの代表番号に個人あての電話がかかってくるのめちゃつらいな。田辺聖子作品でなくとも「ハイミス」が登場するのもね。 この名門クラブでいちばんましといわれるカツカレーの匙を置いて、彼はやってきた。 それに鮨は尚美の大好物…

野草マスター  大原扁理『年収90万円で東京ハッピーライフ』

なぜか筆者を女性と思い込んで読んでいて、途中で「男」という言葉が出てきたときちょっと脳内補正を必要とした。男女関係ない内容なんだけど。 白湯の後は紅茶を淹れます。セイロンを濃い目に淹れて、ミルクを少し混ぜるのが定番です。冬はしょうがのすりお…

真夏の湯豆腐とビール 山本文緒『きっと君は泣く』

この本も、学生のときに読んだらしいのだが、初読と同じだった。魚住「大魔神」がとても魅力的。自分がほしいもの、自分に必要なものをはっきりと知っていて、人を見る目があって、職業人としては精神的にもとても頼りになるプロ。 HIVに怯える、という設定…

日本の宅配ピザが好き 山本文緒『群青の夜の羽毛布』

この本も、以前読んだらしいのに、ひとつも記憶の引っ掛かりなし。ラストよかった。生きててよかった。 おなかは空いてないですか? ああ、そうでしたね。先生はいつも夕飯は済ませて来るんでしたよね。はい、わたしももういただきました。今日はおでんでし…

アボカドとベーコンの炊き込みごはん 冬森灯『うしろむき夕食店』

アボカドとベーコンの炊き込みごはんはぜひ作ってみたい。 全然関係ないけど、今、日本のワイドショーをYouTubeで見て眞子さまのご結婚について好き勝手言っててドン引きしてる。いったい何様...。 今年、眞子さまの願いがかないますように。いや、絶対にか…

なつかしのドラジェ!冬森灯『縁結びカツサンド』

一時期、ウェディングプランニングの会社でバイトをしていた。ドラジェ! しゃらくさし! 「人類のもっとも偉大な思考は意志をパンに変えること」ドストエフスキーとかいうロシアのおひとの言葉だそうだ。商売は知らねえが、これだけのことを自信たっぷりに…

三丁目の夕日時代めし 奥田英朗『オリンピックの身代金』

五輪て、ほんとに都市ハカイダーだよね...。 2020もこのときと同じように「人柱」になってしまった方がたくさん。 いらん工事に手をとられたせいで復興が遅れている地域も含めればその被害はさらに拡大する。 去年の今頃は世界の感染者数を発表してるWHOに献…

1940年代ニューヨーク Elizabeth Gilbert "City of Girls" 

今のマンハッタンはチポレだらけやからね...(嘆息) I sat in the diner car for the whole ride, sipping malted milk, eating pears in syrup, smoking cigarettes, and paging through magazines. My prettiness, to be sure, is why a handsome man in …

ミカンのコンポート & 手作りクッキーの大活躍 湊かなえ『ユートピア』

レストランで待ち合わせ、駐車場で一番に着いたことに気づき「自分だけがはりきっているようではないか」とつぶやくシーンはまさに日本の田舎。 車の有無で誰がどこを訪ねているのかが分かってしまうというね。 さらに車でなくても日本では靴を脱ぐので、襖…

それでも食を知ることができた強さと知性 "Finding Me"

11年近くの監禁中だけでなく、生まれてから誘拐されるまでの食生活も悲惨すぎる。特に缶詰やパッケージ食品の固有名詞がしっかり出してあるので「ひとつでも食べたくないのに、毎日あれだけ...ありえん」と。そんな中で美味しいものの楽しみをを記憶し、食卓…