たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

Entries from 2022-02-01 to 1 month

富士日記(20)夏そばと秋そば

朝、歩いてトレジョに買い物に行った。申し訳ないくらい空が青く平和だ。理不尽の偏りの上に成り立っている偽りの平和だ。 私は大阪のことがとにかく心配なのだ。ウクライナやシリアやアフガニスタンと同じくらい。来月から帰国者の隔離が緩和されるが、大阪…

富士日記(19)弁当をつかう

「弁当をつかう」という用法は向田邦子の随筆にも見られたが、自分の実生活では聞いたことがない。今なら校正の赤が入る恐れがあるのが面倒で使えない感じ。 夜 ハンバーグステーキ、ごはん、いかときゅうり三杯酢、豆腐味噌汁、水蜜桃。花子にハタオリを教…

サービスエリアで食い倒れ『リバース』

ネタばれになりそうな箇所は引用していません。もちろん。おいしそうで引用できないのが残念な箇所もいくつか。 いろいろ話題のイヤミスを読んで回って、あまりの拙い語り口に5ページでやめたりもした末に湊かなえ氏に戻ってくると、えらそうな言い方だがや…

富士日記(18)箸にかかるとしんなりと重たいこんにゃく

かたわらで著者の評伝を読んだらデキ婚前に何度もおろしたとあってふつふつと怒りが湧く。避妊手段・堕胎手段といえば日本はいまだに他国より30年くらい遅れているが、さらに選択肢がなかったであろう時代に、相手にも著者自身にも腹が立つ。その後、良い夫…

富士日記(17)大岡さんち通い

山小屋ご近所の大岡昇平さん宅の在宅を確認してはちょいちょい通ってしまうのすごくわかる。 学生寮に住んでいた2年間、2階下の友人は帰ったかな?と灯りを確認するのが習慣になっていた。 大箱根の「味噌汁定食」に興味がわく。味噌汁ってメインじゃなくて…

富士日記(16)昭和42年の年明け

この時点でもまだ私は生まれていないが店売りのクリームパンが存在している、文化的!と思ったところで朝ドラで戦時中に女学校にクリームパン売りにきてた描写を思いだした。ゼリーも作ってるし、うどんをバターで炒めたりもしている。 昭和42年 1月元旦 雨…

富士日記(15)昭和41年の暮れ

小学校の同級生に伊達巻店の娘さんがいた。 卵焼きだけで商売になるなんて...と不思議に思っていた。卵焼きに限らず、子どものシンプルな目から見て「なぜこれだけで生活していけるの?」な仕事はいろいろあるな。 とりあえず年末は家の手伝いで忙しそうだっ…

児玉清が推すワイン『寝ても覚めても本の虫』

「アタック25」があっさり終了してしまったとはビックリだ。どんどん消えていった一般視聴者参加のクイズ番組。いつメンばかりやたら大勢並ぶ日本のバラエティ番組はほんましょうもないと思うのだけど、一般人を募集するより手間暇もお金もかからないんでし…

富士日記(14)おでんのハンペンだけ

百合子さんが見ているのは、大河ドラマ第4作の『源義経』だろうか。今年はまた三谷作品をやっているらしいですね。『新選組!』『真田丸』は完走した私だが、どうも手が伸びない。 ところで、『真田丸』は著作権侵害サイトで見るしかなかった。なぜなら、い…

富士日記(13)第一次朝食、第二次朝食

第一次朝食、第二次朝食、ってなんかものものしい。テーブルの椅子が足りない大家族みたい。 朝昼兼用 ごはん、いぼだい煮つけ、大根味噌汁。昼寝をしたら、4時過ぎまで眠ってしまう。くらげのように体がやわらかくなってしまう。夜 手製クッキー、スープ、…

富士日記(12)ほうとう

ほうとう好き~。もう20年ほど前になるが都留文科大学の学生だった友人に連れていってもらったうどん屋のがすごく美味しかったし、量がものすごかった。ドンブリからして大きかった。 9月9日 雨、時々くもり、陽が射す台風19号が九州に近づく。朝 主人、いも…

富士日記(11)牛魔大王、松茸めしを喰って嵐おさまる

私は1日1食にして久しいので、毎日(少なくとも山小屋では)きっちり3度3食の日記を見ていると、世の家庭料理人がことごとく言うように「献立考えるのめんどくせえ」ってなるよなと思う。すごすぎるよ。こっち(米西海岸の青い街)にはキッチンに包丁ない、…

富士日記(10)「大岡はカナッペが好きらしいぞ」

カナッペって「食べ物何が好き?」というときに思いつく料理ではないよね。 中学の家庭科の「班ごとに計画して好きなものを作る」授業で、カナッペ作ろうとした班は案を提出した段階で先生に却下されていたぞ。ちなみに私たちの班はお好み焼きにした。 登山…

富士日記(9)サントリー角瓶

コンビニなき時代の山暮らしには缶詰が大活躍だ。 8月2日(火)くもり時々晴朝のうち涼し。西湖へ行く。西湖荘で昼飯。天どん(主人)、オムライス(私と花子)。天どんの中味は、にじますの天ぷらと菊の葉であった。西湖荘の売店で、キノコの形をした盃5個…

富士日記(8)大岡さんのお裾分け

鍋もって近所を行き来するのいいよね。 河口湖駅で、かけそばを食べる。(中略)家に帰って湯豆腐をする。そのあとお茶漬を食べる。湯豆腐の中にベーコンを入れた。 今朝出がけに作ったやきにぎりを食べてから、私だけ眠る。(中略)ビールと漬物とコンビー…

ひとり芝居『6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む』

なんとなく70年代くらいをイメージしながら斜め読みしていたら、いきなりUSBが出てきてええっ、と思った。 登場人物たちがすごくいい作品として持ち上げる文章のサンプルを劇中に出すのはきっついだろうなあと思う。『1Q84』にも粗削りながら驚異の新人の作…

富士日記(7)ベーコン入りのコロッケ

米国にいるとコロッケが縁遠くなる。お肉屋さんのコロッケほどおいしいものはない。しかもたいていカツと比べると申し訳ないくらい安い。 天ぷらを一杯食べたら、ただただ眠い。 ひる ごはん、生鮭バター焼、さやえんどうバターいため、味噌汁、のり、うに。…

富士日記(6)にわとりは1羽250円

一度だけ、「食」のロジスティクスについて学ぶ体験学習で鶏をしめるところからチキンカレーを作ったことがある。察した鶏がおののきの声を上げたりしてグループごとに1羽をころすのは阿鼻叫喚だったのだが、恐ろしいことに食べられなかった人は一人もいなか…

富士日記(5)パンで夕食を

家族3人で違うものを食べているときがままあって大変そう。余計なお世話だが。 あと、わりと夜にもパンを食べているのが昭和40年代にしてはハイカラだと思う。うちなんか、令和になっても夜にパンは出てこないな〜。 それから、「山梨県でできる効率のいいバ…

富士日記(4)敗戦記念日

8月15日を正確に「敗戦記念日」と言っている。 主人はビールを飲んでは、ひとりサンドイッチやほかのものを食べつづけている。憎たらしい。 西湖では西湖荘にあがって食事をする。山菜料理とワカサギ。竹内さんは、西湖の、熔岩が押し流されて岬のようにつき…

富士日記(3)ミートパイと鱒ずし

本書にはいわゆる「差別語侮蔑語あるけど時代に鑑みて悪気ないし著者故人だしママでいくよ〜」の断り書きがついているのだが、ときどき本当にひどい人権無視発言がある。特に武田氏はセクシスト。 ぶどう酒で祝杯。雑煮(とり、ぎんなん、紅白のかまぼこ、み…