たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

Entries from 2023-04-01 to 1 month

ポートランドで『心臓を貫かれて』

ポートランドには多少土地勘があるので、「ああ、あのへんで...、うわー、あそこだ」とシーンを想像しながら読んだ。 が、やはり原書で読むべきだろうな。ムラカミの翻訳といえば『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の逃げタイトルが批判されたりしていたが、1…

力の素を食べる『くもをさがす』

あるサバイバル物語 in バンクーバー、大変面白かった。著者のメッセージを私なりにしかとキャッチした。頭の中になぜか辻元清美議員の姿が浮かんでしかたなかったが。 くもが教えてくれたこともそうだが、それ以上に病院に行くしばらく前からふとアルコール…

思いがけない5つ星生活記『人生はどこでもドア―リヨンの14日間』古き良きエアビー

コミュニティ論として、フランス食材レポートとして大変面白かった。東京の銭湯でもリヨンのカフェでも、溶け込ませていただく鍵はrespectとその実践としてのdecencyだということ。 ただ、言葉は肝ではないとはいえ、言葉ができたらもう少しショートカットで…

「毒親」前史『ドールハウス』

立て続けにチックリットを読んだあとではかなりドキッとするintenseな行間、粘液感(主人公は、相手の体臭や口の中の状態をエグく気にする。自分もちょいちょい口をすすぐ。手をこまめに洗う)。さすがにこの父母はマンガすぎるのではないかと思う私は、親ガ…

今日も働く『プラナリア』

ピッチが出てくる2000年刊の直木賞受賞作。20代のはじめに一度は読んだらしいのだが、何も覚えていなかった。今はプーの心境がとても面白い。最後の1篇「あいあるあした」は昨今提唱や実践が増えたように感じるゆるい家族、コミュニティ、コモンの形が描かれ…

ダンキン通い『アメリカ紀行』

2019年の一時帰国中にジムのバイクにまたがって読み上げたときは、この人タバコ吸ってるだけだな〜という印象しか残らなかった。アメリカの見つかりにくいであろう喫煙所に行き、同志と言葉を交わし、3箱一気買いする。そういう喫煙者目線の生活雑記が新鮮に…

居酒屋 & ホムパ小説『愛がなんだ』

「これマジうまい、食べてみな」が頻出する居酒屋とホムパのメニュウ(『暮しの手帖』っぽい表記)とが白眉の小説。 スマホなき時代は、急にごちそうを作るとなったら、本屋へ行って料理本を立ち読みするのである。 愛がなんだ (角川文庫) 作者:角田 光代 KA…

作りたくなる小説『薄闇シルエット』

むくむく創作意欲が湧いてくる小説だった。ありあわせで作る料理、手芸、思いのままに描いたり切ったり貼ったり...。早速日系スーパーで日本メーカーのウィンナを買ってきた(なぜ)。 誰かが使うあてもないものを作りまくる手芸は、縫い物はセックスのメタ…

コーラの脅威『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』

主人公はライターで出先のホテルでリモートワークまでしているのでまあまあ早めのアダプダーだと思うが、スマホがないだけで記述が随分昔っぽく見える。 コーラは骨を溶かす、というのは私も聞かされていたし、入っている砂糖の量を角砂糖で示されるとヒェー…

ウェディングめし『本日は大安なり』

学生時代、半年ほどだがウエディングプランニングの会社でバイトをしていたときのことをいろいろ思い出していた。それから、日本各地で出席したウェディングのことも。で、この小説は、15組近くのカップルをさばいたらしい日に行った神戸メリケンパークオリ…