たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

ヨーロッパ

美味しそうなものが出てこない『アメリカの素顔』

ちらほら原文を確かめたいところがあるが、この30年以上前の名著には電子版がない。だが民族や日本に関する記述を見てもわかるとおり、読みつぐには内容が古すぎるので図書館で調べるほどの熱意はない。 ありふれたじゃがいもを取りあげてみよう。今日万人の…

野草マスター  大原扁理『年収90万円で東京ハッピーライフ』

なぜか筆者を女性と思い込んで読んでいて、途中で「男」という言葉が出てきたときちょっと脳内補正を必要とした。男女関係ない内容なんだけど。 白湯の後は紅茶を淹れます。セイロンを濃い目に淹れて、ミルクを少し混ぜるのが定番です。冬はしょうがのすりお…

林真理子著『食べるたびに、哀しくって…』

全体的に、指定の文字数いっぱいに伸ばすのに奮闘しているような印象のエッセイが続く。 京都の商家を模したといわれるその店は、店から裏庭に通じる路地があった。右側は倉庫、左側は畳敷きの仕事場になっていた。そこで働く祖母の傍にいると、ひょいとカス…

どこにでもいる「24時間モーニング」党 Emily Giffin "Something Blue"

日米の朝ごはんメニュー(シリアル除く)は私も好きだし、何時でも食べたいと思う。特にダイナ―では絶対に朝食を注文する。「24時間モーニング」を提供するお店は名古屋に限らず、アメリカにもたくさんある。ここに出て来るIHOPもそのひとつ。 "Nothing you …

村上春樹『雨天炎天』ギリシャ・アトス島編

『やがて哀しき外国語』『遠い太鼓』を中心にムラカミの紀行文は好きで何度も読み返しているのだが(時々小説以上に女性差別視点がのぞくのだけは気になる)、もう30年以上前に出た本書は初めて。ギリシャ語の勉強を始めたのを機に。「やれやれ」づくしだっ…

脂がのっていない『かもめ食堂』

映画『かもめ食堂』はふとしたときに見返したくなることがあって、配信アクセスを購入している。日本では、家具屋のモデルルームで流しっぱなしにされているのを見かけて、借りなおしたりしたものだ。(いまだにレンタルDVDが生きている日本は特殊だよね) …

さらに脂がのる会食シーン 林真理子著『最高のオバハン 中島ハルコの恋愛相談室』

村上開新堂のクッキーと同じく、私には、Opus One(300ドルくらい。庶民に手の届くレベルの贅沢)とトレジョワイン(3ドル)との違いも全然分からない。どっちも同じくらいカリフォルニアーンだと思う。 ギャルソンが椅子を並べ始めたカフェを見つけ、2人は…

フライドポテトは野菜 内田親子の『街場の親子論』

私は対談本が好きだ(9割ハズレだが)。考えてみればアメリカでは、インタビュー本はあっても対談はあまり聞いたことないな。村上・オザワの音楽対談本の英訳も稀有に思えた。そもそも企画モノっぽい本があまりない気がする。やたら多作な論客も思いつかない…

『アンネ・フランクの記憶』をめぐる旅で

10年以上ぶりに再読した。私もアムステルダムでアンネの足跡をたどったが、食べる楽しみに欠ける街だった...。 終点の1つ手前で市電を降り、昼食をとった。繁盛していそうな店を探すが、どこも空いている。1軒、テラスがほぼ満席になっているピザの店があっ…