たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

中国

『本を読む女』とお店の子

学生の時に確か図書館で借りて読み、万亀が帰省してコロッケ作って喜ばれなかった話だけ覚えていた。戦前戦中のある女性史としてとても興味深いのだが、特に後半から新聞連載っぽすぎる粗さで集中できない。(実際、調べたらやっぱり元は新聞連載小説だった…

犬養道子『セーヌ左岸で』

10年以上ぶりに再読。内容が古い部分も多々あり、電子版も出なさそうなので捨てられない1冊である。 クレープやタルトに説明が必要だった70年代。表記のゆれに鷹揚なのがすごくいい。artという語を日本語一語では表せないことを示していて共感する。(「芸術…

ポケベルが鳴らなくて 山本文緒『ブラック・ティー』

ポケベルや固定電話の留守電の使い方について知りたい人はこの短編集を読もう。 ちょうどやかんのお湯が沸いたようなので、僕は台所へコーヒーを淹れに行った。彼女はブラックが好きなのだ。ミルクと砂糖をたっぷり入れないと飲めないと僕は違う。ゆっくりと…

日本の富裕層の食事 母のカレーから白子まで『愉楽にて』

本書の京都パートを読んで、茶道がちょっとイヤになった。金かけてなんぼなのは分かってるし、こういう人たちがいないと文化が守られないのも確かなのだが。 2人の前にはやがて、細く切った野菜と海鮮の皿が出てくる。高く盛られたこれは魚生(ユーシェン)…