日本
たぶん10年ぶりの再読。最後に女性が男性ゲイに夢中になるところだけ記憶していた。当時もいやそれナイから、と思ったんだろうな。『メゾン・ド・ヒミコ』をゲイ友人たちが口を揃えて「あれ絶対ナイから」と言っていた時期に読んだのかもしれない。 直木賞受…
今すごく食べたいもの。ミョウガの天ぷら。明石SAで売られている諸々。 「うわ」フードメニュー越しに、母がまた声を漏らした。いつのまにか、テーブルにはビールの入ったグラスが2つ、置かれている。「一番高い肉、4千円もするん? 月謝と変わらんやん」「…
光浦さんの留学話、もっと読みたい。聞きたい。 子供がいると、子供中心のメニューになってしまいます。カレーも子供に合わせて甘口です。そんな子供味に飽きた夫婦に、ヤムウンセン、タイの春雨サラダを作ってあげたらすごく喜んでました。「家で、辛いもの…
私にとっても、これまでに美味しかったビールシーン、ベスト1は昼間、業務時間中だ。某優勝パレードのアテンドの後、西大阪の蕎麦屋で飲んだ小さな100円ビール。水を飲んだり、カレーを食べたりしただけでチクられる公務員や公共事業従事者をほんっとうに気…
まだ少年の今上天皇が初めてひとりで外国に出発する。飛行機のタラップをのぼりきったところで振り返る。片手を上げる。すると、下から彼を見守っていた圧倒的に男性ばかりの一団が一斉に手を上げて振り返す。 この瞬間をとらえた映像にザーッと涙が出る理由…
私が常々考えている「本物」「時の流れに耐える創作物」の条件についての一考察で面白かった。南沢奈央氏の解説がとてもよかった。 「2人とも、もう昼飯食うたね?」食料庫に酒を収めていると、桑原がそう訊いてきた。まだ、という返事の代わりに、ぐう、と…
SNSをやっていないサワ先輩みたいな人間のひとりにとっても「わかる」ポイントの多い話だった。一緒に過ごしていた友達が気づかないうちにほぼリアルタイムで加工まで施した写真を投稿していて、後で「いつの間に!」とビビる、というのは私も経験ある。 自…
終戦から阪神大震災まで盛りに盛り込んだ『フォレスト・ガンプ』みたいな忙しない話だった。ラスト2割の駆け足っぷりがザッツ連載小説。「てんぷら」の表記がゆれているのは原文ママです。 金太郎さんの山もいったわね、帰りに食べた玉こんにゃくがおいしか…
あるサバイバル物語 in バンクーバー、大変面白かった。著者のメッセージを私なりにしかとキャッチした。頭の中になぜか辻元清美議員の姿が浮かんでしかたなかったが。 くもが教えてくれたこともそうだが、それ以上に病院に行くしばらく前からふとアルコール…
立て続けにチックリットを読んだあとではかなりドキッとするintenseな行間、粘液感(主人公は、相手の体臭や口の中の状態をエグく気にする。自分もちょいちょい口をすすぐ。手をこまめに洗う)。さすがにこの父母はマンガすぎるのではないかと思う私は、親ガ…
ピッチが出てくる2000年刊の直木賞受賞作。20代のはじめに一度は読んだらしいのだが、何も覚えていなかった。今はプーの心境がとても面白い。最後の1篇「あいあるあした」は昨今提唱や実践が増えたように感じるゆるい家族、コミュニティ、コモンの形が描かれ…
2019年の一時帰国中にジムのバイクにまたがって読み上げたときは、この人タバコ吸ってるだけだな〜という印象しか残らなかった。アメリカの見つかりにくいであろう喫煙所に行き、同志と言葉を交わし、3箱一気買いする。そういう喫煙者目線の生活雑記が新鮮に…
「これマジうまい、食べてみな」が頻出する居酒屋とホムパのメニュウ(『暮しの手帖』っぽい表記)とが白眉の小説。 スマホなき時代は、急にごちそうを作るとなったら、本屋へ行って料理本を立ち読みするのである。 店を出てすぐプルトップを開ける。きんと…
むくむく創作意欲が湧いてくる小説だった。ありあわせで作る料理、手芸、思いのままに描いたり切ったり貼ったり...。早速日系スーパーで日本メーカーのウィンナを買ってきた(なぜ)。 誰かが使うあてもないものを作りまくる手芸は、縫い物はセックスのメタ…
主人公はライターで出先のホテルでリモートワークまでしているのでまあまあ早めのアダプダーだと思うが、スマホがないだけで記述が随分昔っぽく見える。 コーラは骨を溶かす、というのは私も聞かされていたし、入っている砂糖の量を角砂糖で示されるとヒェー…
学生時代、半年ほどだがウエディングプランニングの会社でバイトをしていたときのことをいろいろ思い出していた。それから、日本各地で出席したウェディングのことも。で、この小説は、15組近くのカップルをさばいたらしい日に行った神戸メリケンパークオリ…
ふらふらと松屋やジョナサンに行った東京の徹夜明けを思いだす。あの朝も、あの朝も、あの朝も、すごくよかった。今はあのゴミゴミした街で一晩過ごしたいとは到底思えないけれど。 トローチの一気食いの例は知らないが、今はなきシーズケースのタブレットを…
冒頭はムラカミへのオマージュだろうか。聖の語りはところどころムラカミ臭がする。インタビュー集『みみずくは黄昏に飛びたつ』は好きでよく読み返す。 石川聖か電話がかかってきたとき、わたしは午前中のぶんの仕事を終えて、昼食に簡単なスパゲティーをつ…
先月辻村氏を知って湊かなえ氏以上の多作ぶりに驚いている私としては、巻末の林真理子氏との直木賞対談の「今回の受賞は、この先もきっと小説を書いていくだろうと信頼していただけたからなのかもしれないと思うようにしています」が印象に残った。 林氏がど…
筋にあんまり関係ないが、ウェブデザインを見てデザイナーを特定できる、というのは無理がある。2000年初め、ブログ登場までならまだギリギリそういうこともあったかな。でも出版されたのは2011年、レスポンシブデザインはまだ普及していないが、とりあえず…
スペイン語ばかりが聞こえてくるランドリーで、東北の被災地のサンクチュアリを頭の中に再現して読了。辻村深月氏の作品は初めて手に取ったのだが、久しぶりにアマゾンのリコメン機能に感謝した。娯楽読書が好きでよかったなぁと思わされた。いつか映像化さ…
桐野作品の中ではあまり楽しめなかったのだが、仁藤夢乃氏の解説がよかった。食の貧しさが心のすさみに直結しているのが伝わってきてつらい。自炊のみならず、かれらが選ぶ外食もことごとくチャチくてまずそう。ごくまれにまともな食事を出されるとかえって…
八千草薫の出演作は新聞販売店からチケットをもらった(なつかしくないですか)『天国までの百マイル』のみ。だが、一度、彼女に似ているね、と言われたことがあって(そういうのって事実はどうあれ結構意識してしまいませんか。あと、彼女はジュリエット・…
独り者だろうが、赤子がいようが、ルームシェア、ハウスシェアが当たり前の街に住み、10年近く3住居でシェアをしてきたので、日本ではこれほど大家さんに難色を示されるのかということが意外だった。子どもに家を出て自立しろ、と言ったものの、シェアはダメ…
たぶん20年ぶりくらいに読み返したのだが、「今日では差別ととられかねない表現が...」の注意書きが必要だと思った。でも作者が故人じゃないから第三者が故人の作品に手を加えることは云々の言い訳が使えないなあ。その90年代に確かに使われていた言葉ではあ…
まさか湊先生の小説の中でパナップの現状を知ることになるとは。グリコのサイトで見ると、なんだか別物になっている。小さくなったのにお値段も160円に。100円玉をもらってアイスを買うときによく選んでいたパナップ。今度帰国したときはぜひ食べよう。「日…
これ読んで3人で特上寿司6人前いいなァと思っていたら、年明けに一貫18ドルのトロをごちそうになって魂飛んだ。統一教会系の食品卸の余禄じゃなくて、知り合いが釣ってきたやつね。 おかずは里芋の煮物に鯖の味噌煮に切り干し大根。2人分より、たっぷり作っ…
カリフォルニアで意外だと思っているのは、ビアードパパがつぶれないこと。日本にいたときは駅で買っていたものだが、一時帰国したときに見たら他の店に変わっていた。そしてここにも「優しい味」が。 「ケーキはいらないし、話は終わり。帰ったらどうだ?」…
名物らしいと耳にし、「マネをしたと思われないように」ソフトクリームを買いに行く主人公。別にいいじゃんね、堂々とマネすれば。むしろマネアピールをしたい。お店とか街中で「あなたが食べてるそれ、何?」「どこで買ったの?」って聞かれるの嬉しくない…
ときどきケチャップご飯を食べたくなるが、トレジョのケチャップで作っても美味しくないのよ。ちょっと甘すぎるのかな。 「おはよう。朝ごはんちょうどできたよ」と、森宮さんが味噌汁のお椀を運びながら言った。「おはよう......。あれ?」私は食卓を見て、…