日本
20年近く前に一度読んだらしいのだが、途中から物語の顛末をこまごまと思い出しだ。冴木の最後の台詞まで覚えていた。こんなのほほんとした女性誌小説にも巻末に「差別的ととられかねない表現が...」のディスクレーマーがつけられているのはいくら人権更新国…
2年前に『汚れた手をそこで拭かない』を読んだらしいのだが、あらすじなどを読んでみてもまっっったく思い出せなくて恐ろしい。 「ばあば、いつも言ってるわよね? カメラが回っていない間も仕事なの。考えればわかることじゃない。パパ・チキンの人が相手な…
田中美津著『この星は、私の星じゃない』を呼んで、永田洋子氏のことを知りたくなり、たどり着いたもののひとつがこのアダプテーション小説だった。巻末の弁護士・大谷恭子氏の解説にもあるが、判決主文の「女性特有の執拗さ...」の破壊力が強すぎる。これは…
話し言葉もそうだけど、メールで「女ことば」の「〜わ」を使う奴いるか?昔の小説に突っ込むのも野暮か、と思ったら、これ2012年刊でエボラも出てくるのであった...。 ↓あと、医学部をFaculty of medicalとはまず言わん。どこかの英語圏の大学のサイトを参照…
日本ではハーゲの販売元がサントリーということで、不買運動陣に悲鳴が上がってましたな。常々、日本におけるハーゲのアドバトリアルは過剰だと思っていた(新しいフレーバーの開発秘話で情報番組の20分を使うとか)。バックにサントリーと聞けば納得がいく…
私は、いい大人の食習慣についてジャッジするのは最悪だと思っているが、この小説を読んで、飲料含めて全食コンビニの日本の知人の食生活に生理的といっていいほどの嫌悪感を抱いてしまったのを思い出した。「今朝はからあげくんと野菜1日これ1本だった」な…
そういえば私も一時期大学オケでバイオリンを弾いていたのだった。どこかのセミプロの人が指導に来てくれていたのも同じだ。今の日本で学芸員さんになれたのはすごいけど、生きていけない給与やん、と余計な心配もした。 気張って材料を用意するような料理で…
たぶん10年ぶりの再読。最後に女性が男性ゲイに夢中になるところだけ記憶していた。当時もいやそれナイから、と思ったんだろうな。『メゾン・ド・ヒミコ』をゲイ友人たちが口を揃えて「あれ絶対ナイから」と言っていた時期に読んだのかもしれない。 直木賞受…
今すごく食べたいもの。ミョウガの天ぷら。明石SAで売られている諸々。 どうしても生きてる (幻冬舎文庫) 作者:朝井リョウ 幻冬舎 Amazon 「うわ」フードメニュー越しに、母がまた声を漏らした。いつのまにか、テーブルにはビールの入ったグラスが2つ、置か…
光浦さんの留学話、もっと読みたい。聞きたい。 子供がいると、子供中心のメニューになってしまいます。カレーも子供に合わせて甘口です。そんな子供味に飽きた夫婦に、ヤムウンセン、タイの春雨サラダを作ってあげたらすごく喜んでました。「家で、辛いもの…
私にとっても、これまでに美味しかったビールシーン、ベスト1は昼間、業務時間中だ。某優勝パレードのアテンドの後、西大阪の蕎麦屋で飲んだ小さな100円ビール。水を飲んだり、カレーを食べたりしただけでチクられる公務員や公共事業従事者をほんっとうに気…
まだ少年の今上天皇が初めてひとりで外国に出発する。飛行機のタラップをのぼりきったところで振り返る。片手を上げる。すると、下から彼を見守っていた圧倒的に男性ばかりの一団が一斉に手を上げて振り返す。 この瞬間をとらえた映像にザーッと涙が出る理由…
私が常々考えている「本物」「時の流れに耐える創作物」の条件についての一考察で面白かった。南沢奈央氏の解説がとてもよかった。 スター 作者:朝井 リョウ 朝日新聞出版 Amazon 「2人とも、もう昼飯食うたね?」食料庫に酒を収めていると、桑原がそう訊い…
SNSをやっていないサワ先輩みたいな人間のひとりにとっても「わかる」ポイントの多い話だった。一緒に過ごしていた友達が気づかないうちにほぼリアルタイムで加工まで施した写真を投稿していて、後で「いつの間に!」とビビる、というのは私も経験ある。 自…
終戦から阪神大震災まで盛りに盛り込んだ『フォレスト・ガンプ』みたいな忙しない話だった。ラスト2割の駆け足っぷりがザッツ連載小説。「てんぷら」の表記がゆれているのは原文ママです。 笹の舟で海をわたる 作者:角田 光代 毎日新聞出版 Amazon 金太郎さ…
あるサバイバル物語 in バンクーバー、大変面白かった。著者のメッセージを私なりにしかとキャッチした。頭の中になぜか辻元清美議員の姿が浮かんでしかたなかったが。 くもが教えてくれたこともそうだが、それ以上に病院に行くしばらく前からふとアルコール…
立て続けにチックリットを読んだあとではかなりドキッとするintenseな行間、粘液感(主人公は、相手の体臭や口の中の状態をエグく気にする。自分もちょいちょい口をすすぐ。手をこまめに洗う)。さすがにこの父母はマンガすぎるのではないかと思う私は、親ガ…
ピッチが出てくる2000年刊の直木賞受賞作。20代のはじめに一度は読んだらしいのだが、何も覚えていなかった。今はプーの心境がとても面白い。最後の1篇「あいあるあした」は昨今提唱や実践が増えたように感じるゆるい家族、コミュニティ、コモンの形が描かれ…
2019年の一時帰国中にジムのバイクにまたがって読み上げたときは、この人タバコ吸ってるだけだな〜という印象しか残らなかった。アメリカの見つかりにくいであろう喫煙所に行き、同志と言葉を交わし、3箱一気買いする。そういう喫煙者目線の生活雑記が新鮮に…
「これマジうまい、食べてみな」が頻出する居酒屋とホムパのメニュウ(『暮しの手帖』っぽい表記)とが白眉の小説。 スマホなき時代は、急にごちそうを作るとなったら、本屋へ行って料理本を立ち読みするのである。 愛がなんだ (角川文庫) 作者:角田 光代 KA…
むくむく創作意欲が湧いてくる小説だった。ありあわせで作る料理、手芸、思いのままに描いたり切ったり貼ったり...。早速日系スーパーで日本メーカーのウィンナを買ってきた(なぜ)。 誰かが使うあてもないものを作りまくる手芸は、縫い物はセックスのメタ…
主人公はライターで出先のホテルでリモートワークまでしているのでまあまあ早めのアダプダーだと思うが、スマホがないだけで記述が随分昔っぽく見える。 コーラは骨を溶かす、というのは私も聞かされていたし、入っている砂糖の量を角砂糖で示されるとヒェー…
学生時代、半年ほどだがウエディングプランニングの会社でバイトをしていたときのことをいろいろ思い出していた。それから、日本各地で出席したウェディングのことも。で、この小説は、15組近くのカップルをさばいたらしい日に行った神戸メリケンパークオリ…
ふらふらと松屋やジョナサンに行った東京の徹夜明けを思いだす。あの朝も、あの朝も、あの朝も、すごくよかった。今はあのゴミゴミした街で一晩過ごしたいとは到底思えないけれど。 トローチの一気食いの例は知らないが、今はなきシーズケースのタブレットを…
冒頭はムラカミへのオマージュだろうか。聖の語りはところどころムラカミ臭がする。インタビュー集『みみずくは黄昏に飛びたつ』は好きでよく読み返す。 みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫) 作者:川上未映子,村上春樹 新…
先月辻村氏を知って湊かなえ氏以上の多作ぶりに驚いている私としては、巻末の林真理子氏との直木賞対談の「今回の受賞は、この先もきっと小説を書いていくだろうと信頼していただけたからなのかもしれないと思うようにしています」が印象に残った。 林氏がど…
筋にあんまり関係ないが、ウェブデザインを見てデザイナーを特定できる、というのは無理がある。2000年初め、ブログ登場までならまだギリギリそういうこともあったかな。でも出版されたのは2011年、レスポンシブデザインはまだ普及していないが、とりあえず…
スペイン語ばかりが聞こえてくるランドリーで、東北の被災地のサンクチュアリを頭の中に再現して読了。辻村深月氏の作品は初めて手に取ったのだが、久しぶりにアマゾンのリコメン機能に感謝した。娯楽読書が好きでよかったなぁと思わされた。いつか映像化さ…
桐野作品の中ではあまり楽しめなかったのだが、仁藤夢乃氏の解説がよかった。食の貧しさが心のすさみに直結しているのが伝わってきてつらい。自炊のみならず、かれらが選ぶ外食もことごとくチャチくてまずそう。ごくまれにまともな食事を出されるとかえって…
八千草薫の出演作は新聞販売店からチケットをもらった(なつかしくないですか)『天国までの百マイル』のみ。だが、一度、彼女に似ているね、と言われたことがあって(そういうのって事実はどうあれ結構意識してしまいませんか。あと、彼女はジュリエット・…