たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

宮野真生子、磯野真穂著『急に具合が悪くなる』から

日本国外在住の私にとって、和書は電子版が出されない限り入手しにくいもの。
それでもKindleなき時代と比べれば絶対に文句は言えないのだが。
これまでも「電子化リクエスト」をバンバン出版社に出してきたが、この本こそそれを望んだことはなかった。帰国したら書店に行くべ、とメモするも、コロナでそんなのいつになるやら。Kindle版が出ているのをふと見つけて万歳した。よい本だった。

この島では、5時半になると「夕焼け小焼け」が流れて、「皆さんお家に帰りましょう」と町内放送で呼びかけられます。思わず私は、醤油の香りのする路地を走り、海の見える家に帰る人生を想像します。晩ごはんは、小さくてさくっとした歯触りの烏賊(このあたりではベイカと言うそうです)をさらっとお醤油で煮付けたものかな。あの煮付けたお汁を白いご飯にかけて食べるの、お行儀が悪いけど、おいしいんだよな。

他方、宮野妹説への確信を時間の経過とともに強めた私のパートナーは、薬による味覚変化の影響で菓子パンが食べやすくなった宮野さんに「おすすめ菓子パンリスト with オススメの飲み物」を深夜に全力で送り、真面目な宮野さんは翌日にそれを再現する。

宮野真生子、磯野真穂著『急に具合が悪くなる』