学習院のカレーも生協だろうか。銀座のとんかつ~
食堂と思われるその部屋は和室になっていて、細長い大きなテーブルがありました。ただし、椅子の部分が掘りごたつ式になっているのです。(中略)
海外からのお客さまには和室で正座して食事をとるのは難しいでしょう。でも来日して、いつもと同じテーブルと椅子では味気なく感じます。この掘りごたつ式なら少しでも和の雰囲気を味わってもらえます。海外のお客さまに和の雰囲気の中でお食事をとってもらえる折衷案として、このような食卓が生れたのかもしれません。
ちなみにこの日の夕食のメニューは、おせち料理とビーフステーキでした。
夕食後、私たちがどのように過ごしたか、この日の日記で締めくくりたいと思います。
「宮さまはバイオリンを弾きました。上手でした。僕は『The Entertainer』をピアノで弾きました。宮さまもピアノを弾きました。8時半頃、四谷まで送ってもらって帰りました。」
御所で近況報告をしていたとき、私はおもしろ半分で陛下に英語で話しかけてみました。すると、陛下は英語で答えてくださり、英語での会話が弾みました。そのとき私の印象に残ったのは、陛下の流暢に英語を話す能力以上に、英語で話すほうが日本語でお話しになるときよりもリラックスしていて、とても楽しそうに見えたことでした。
学生時代、東宮御所に陛下をお訪ねする前に、私はよく銀座に立ち寄りました。おいしいと評判のトンカツを、お土産に持って行くためです。陛下はトンカツが大好きで、差し入れると、とても喜んでくださいました。
カレーライスがお好きなこともよく知られています。学習院高等科でも、まれに食堂を利用することがあり、カレーライスを召し上がっている姿を見かけたことがあります。
お立場上、今はもう気軽に街に出ることはできないでしょうけれど、皇太子時代には、友人同士の会食にお忍びで参加していただいたことも何度かあります。そんなときは、たいてい陛下のお好きな中華料理を選びました。円卓を囲んで、大皿から料理を分け合い、楽しい時間を過ごしたものです。
アンドルー・B・アークリー著『陛下、今日は何を話しましょう』より