たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

音威子府へ 酒井順子・ほしよりこ著『来ちゃった』

青春18きっぷであちこち廻ったのが懐かしい。時刻表の読み方が分からなくて、覚える気もなくて、路線図だけをたよりに乗り継ぎ、何もない駅で2時間待たされたりなんてこともしばしば。
私もきしめんのためだけに名古屋で下車したりした。

動物を愛でたその足でジンギスカンなど賞味した私は翌日、旭川駅から宗谷本線車中の人となりました。何せ長い線ですので、全て鈍行で行くと、6時間かかります。その手の旅も嫌いではないのですが、今回は途中駅の音威子府で、美味しいと噂の駅ソバを食べる、という陰の目的もあった。
(中略)
早速、駅構内にある「音威子府そば」の暖簾がかかったお店へ。既にお腹もすいていたので、ちょっと贅沢にてんぷら蕎麦を注文すれば、さすが駅ソバ、すぐに丼が出てきます。中を見ると蕎麦が黒く、
「渋皮も入れて製粉しているんだよね」
とは、ご主人のお話。
店の前に設置されている駅のベンチで、蕎麦をすすりつつご主人に話をうかがっていると、音威子府駅は1989年までは天北線という線も走る交通の要所だったこと、今は人口約900人(2007年当時)の北海道一小さな村であることなど、教えて下さいました。

酒井順子・ほしよりこ著『来ちゃった』より

音威子府の人口、住民基本台帳によると、13年後の今は700人まで減っているようだ。