たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

ゴリ押し卵カレー『健全な肉体に狂気は宿る』

買わなきゃよかった。著者ふたりの女性に対する偏見がダダ漏れでひどい。
「(女性は)値崩れする」(春日氏)などというウンコ発言を出版してOKと思える傲慢さに、いいこと言ってるところも耳に入らなかった。

少し前の本なので、ふたりのアイデアがアップデートされていると信じたい。

内田 渋谷の道玄坂に「ムルギー」っていうカレー屋さんがあって、この店は客が入って座ったら「卵カレーですね?」って言われちゃうの(笑)。それもずいぶんな話でしょう。初めて入った客でも誰でも。
カレーは何種類かあるんだけど、卵カレーっていうのは、普通のカレーにゆで卵のスライスが載っていて、それで50円増しぐらいのものなんですね。卵だけで50円増しというのもずいぶんじゃないかと思うんだけど、たしかに卵をつけるとおいしいんだな。でも、だからと言って、いきなり「卵カレーですよね」ですよ。
ただ、今思うと、あれも一種のサービスなんですね。うちのカレーはゆで卵つけた卵カレーが一番の自信作なんだから、これを黙って食え、と。それが店の気概というもんですよね。

内田樹、春日武彦『健全な肉体に狂気は宿る― 生きづらさの正体』より

イノダコーヒも問答無用で砂糖ミルク入りで出てくるのがよかったけど、外国からの観光客も増え、アレルギーコンシャスになった今は、そうも言ってられなくなったかもしれない。少なくとも「こういうやつです、アレンジはできません」と大書しとく必要があるだろうな。
サブウェイが撤退したのもあれこれ選ばせる形式が日本人に合わなかったんじゃないかと思うけど、戻ってきたしね。
東大阪の駅のスタバで前に並んでいたおばさんが、「コーヒー」「サイズはいかがいたしますか?」「えぇぇ、ようわからん、もうええわ」と脱落したのを目撃したのはもう20年前のことだ。