鯛焼きの円形版のお菓子の名称についてはたびたび話題になるが、「自慢焼」は初めて聞いた。
店売りのおにぎりって、型で抜いてあるでもなんか美味しいよね(コンビニ・スーパーのおにぎり除く。アメリカでは日系スーパーにも売っている。ナイーブだが、米を薬液で洗っている工場の映像を見て以来食べてない)。
6月6日(土)晴、時々くもり
朝 ごはん、大根味噌汁、かにたま、佃煮。
昼 ホットケーキ、貝のスープ、オイルサーデン。
夜 ごはん、ハンバーグステーキ、野菜スープ。中央道、石川で、そば70円(主人)、おにぎり1個30円(百合子)、鮭ちらしずし弁当(主人)。
おにぎりには、おかかがかかっていて、大箱にずらりと並べてある。「一つ下さい」と言うと、じかに手にのせてくれた。
(中略)
河口終点ゲートを出て公園のようなところで、主人は鮭ちらしずしを食べる。魔法水筒のお茶を飲む。主人はこの鮭ちらし弁当は中央道の弁当の中で一番おいしいという。私は少し食べてみたが、好きでない味だった。
(中略)
昼 ごはん、シューマイ、漬物、野菜五目煮、中華スープ。
昼寝。赤い着物をきている夢をみている。起きたら暗くなっていて、雨が降っている音。
夜 新じゃがをふかして、バターとマヨネーズで食べる。とりのスープ。朝 ごはん、炒り豆腐(かつぶしを沢山いれた)、茄子にんにく炒め、山芋の千切りと大根おろし、わかめ味噌汁。
昼 パン、マッシュルームスープ、鮭燻製と玉ねぎ油漬。
夜 新じゃがのふかしたの(百合子)、ごはん、鯛から揚げ野菜あんかけ(主人)。
一日、裁縫。花子の洋服仕上る。石川で、ちらし弁当(主人)200円、ホットドッグ(百合子)70円。
(中略)
昼 茄子とねぎを入れたすいとん。朝 ごはん、鯛のから揚げ野菜あんかけ、佃煮。
昼 グリンピースごはん、ベーコンオムレツ、はんぺんとみつばの清し汁。「はんぺんとみつばの入ったおつゆが、おつゆの中では最高だな」と主人言って、お代りをする。歯がなくなってきて、嗜好が変ったのかしら。前には、「はんぺんなど無意味」といっていた。
夜 ごはん、まぐろ油漬、大根おろし、丸焼茄子、キャベツ味噌汁。
今日買った味噌は、Nマーケットの裏にある「みそ、こうじ加工所」というところで買った。(中略)こうじの箱が洗って干してある。棚には味噌が一杯。眼鏡をかけたおかみさんが出てきて、委託でなくても売ってあげるというので、1キロ袋を買う。委託加工の味噌は新しくて出来たてなので、1年ねかせておかなくてはならないのだそうだ。
帰ってきてから、味噌を包んでくれた包紙をみると、甘酒と味噌の作り方が刷りこんであった。今度、味噌も甘酒も作ってみよう。石川で、鮭ちらし弁当(主人)200円、サンドイッチ(百合子)200円。
(中略)
昼 すいとん(茄子、ねぎ、卵)。
枇杷を食べる。主人は枇杷を千切りにしたのを食べる。おいしいという。主人がゆっくりと2個食べ終るまでの間に私は8個食べた。おいしかった。
(中略)
夜 ごはん、卵焼、大根おろし、野菜煮〆、じゃがいも味噌汁。
(中略)
富士吉田にて。(中略)自慢焼という今川焼のようなのを作って売っている。50円から2000円までのどんなものがあるのかと、暗い店の中を覗くと、自慢焼のほかは何もない。自慢焼の中味のあんこがいやに紫っぽいので買う気が起きない。で、50円から2000円までのみやげものの正体もみきわめられない。いつもそこを通るとき、気になっている。朝 ごはん、生鮭バター焼、かぶ味噌汁、佃煮、海苔。
昼 ふかしパン、じゃがいもスープ、ウインナーソーセージ、紅茶、まくわうり。
(中略)
夜 ごはん(豚茶漬)、畑のコンフリーをおひたしにした。うまくもまずくもない。談合坂に寄り、へそまんと月見団子を一箱ずつ買う。
(中略)
朝 ごはん、オムレツ、わかめとかぶ味噌汁、にんじんと大根のなます。
昼 すいとん(上にかつぶしを一杯かけてみた、それと、海苔ものせた)。
夜 ごはん、まぐろ煮付、ほうれん草ごま和え、豆腐とみつばの清し汁。
(中略)
紅茶とケーキが出たが、紅茶だけ飲んで誰もケーキを食べない。私だけ食べた。7時ごろ終る。朝 ごはん、まぐろ煮付、生卵、海苔、かぶ味噌汁。
昼 お雑煮(粟餅)。
夜 ごはん、鰊つけ焼、大根おろし、さつまいも甘煮、丸焼茄子、ほうれん草おひたし、みつばと卵のおつゆ。
鰊があんまりおいしいので、私は4本食べた。4本目のとき、急に気持わるくなる。8人分ほどのおにぎりと鶏のから揚げと漬物を持たせる。
(中略)
昼 シューマイ、茄子味噌汁、とりから揚げ、きゅうり千切り、小松菜辛子醤油、ごはん(おにぎり)。
夜 うどんバター炒め(コンビーフ、玉ねぎ、パセリ)、スープ。昼 すいとん(畑のかぶを抜いていれる)。
今日みたいな日は、体のすみまでのびのびして、歩いていても猫かハイエナの気分だ。
夜 ごはん、木の葉カツ、キャベツ、けんちん汁。隣りに生鮭2枚あげる。おばあさんは、こんにゃくの煮たのをくれる。「じいちゃんが煮たのとではない」と言う。10センチ位の長さの屑毛糸を編みこんで、ふとんカバーを作っていた。
夕食後、ぼんやりと外を見ていると、大岡夫妻がみえる。桃1箱と神戸牛の粕漬を頂く。
(中略)
出版社から話をつけにいったら、桃2箱と山菜の味噌漬のようなものをごちゃごちゃと持って謝まりにきた。秋まででやめてもらうことになった、という話。この桃はその1箱。
デデは1週間経ったら山へ来るそうだ。
大岡さんと奥様は、きじ料理屋に入ってみたそうだ。1200円できじ鍋というのを食べた。肉は数えるほどしか入っていない。でも、まあまあ食べられる味だった。昼 かにと卵の焼飯、スープ。
夜 中華風おかゆ。
今日が本当の満月らしいと主人言う。
武田百合子著『富士日記』より