たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

富士日記(49)おはぎ

おはぎは成人してから美味しいと思い始めた食べ物のひとつ。大人になるっていいよね。

6月3日(木)くもり、夜になり雨
朝 ごはん、鮭と卵と玉ねぎの油炒め、じゃがいもとわかめ味噌汁、みつばの酢味噌和え、夏みかん。
昼 カレーライス。私はドーナツを食べる。
夜 ラーメン(野沢菜と肉の油炒めをのせる)、プリンスメロン。
畑の菜っ葉の間引き。

6月4日(金) 雨風つよし
朝 ごはん、炒り卵、海苔、大根味噌汁、夏みかん。
昼 ごはん、牛肉大和煮、白菜炒め、きゅうりといか酢のもの。
夜 かけうどん、茄子と豚肉の中華揚げ煮。
雨が降るたびに、草はのび、葉や枝はひろがり、緑は深まってきて、時間が刻々過ぎ去ってゆく。毎年私は年をとって、死ぬときにびっくりするのだ、きっと。

朝 ごはん、ひらめ煮付、焼き茄子の実の味噌汁、コンフリーおひたし、山椒佃煮。
昼 ごはん、海苔、うに、卵焼。
夜 かけうどん、きんぴらごぼう、ほうれん草おひたし。
主人の電気毛布をしまう。

6月20日(日) 小雨、一日中降ったりやんだり
朝 ごはん、味噌汁、のり、うに。
昼 ふかしパン、スープ。
夜 ごはん、豚肉と高野豆腐煮付、きゅうりと油揚げとピーマンのにんにく醤油漬。グリンピース塩茹で。

6月21日(月) 終日、雨
朝 ごはん、味噌汁、鮭の罐詰、大根おろし。
昼 グリンピースごはん、コンビーフ、スープ、青菜炒め。
夜 湯豆腐(ベーコンと玉ねぎ入り)、パイナップル。

6月22日(火) くもり時々小雨
朝 ごはん、麻婆豆腐、かきたま汁、茄子丸焼。
昼 ごはん(焼きにぎり)、はんぺんとみつばの清し汁、サラダ。
夜 おかゆ、コンビーフ、春菊おひたし、バター、のり、うに。
庭の野ばらがだんだん咲く。

朝 ごはん、シューマイ、大根味噌汁、トマト。
昼 ごはん、はんぺんとみつばの清し汁、炒り卵とひき肉甘辛煮、プリンスメロン。
夜 かけうどん、ひじきの煮たの、ひらめ煮付。
夜になって豪雨となる。
昼間は二人ともぐっすり昼寝した。

朝 ごはん、豆腐味噌汁、ひらめのそぼろ、のり、卵、トマト。
昼 パン、野菜スープ、鮭と玉ねぎ酢油漬。
夜 グリンピースごはん、いんげんごま和え、がんもどき煮付、とりささみフライ。
(中略)
プリンスメロン120円、プラム1箱130円、夏みかん120円。
プラムは真赤なのに、おどろいた、このまずさ!!
隣りへしらすをあげたら、ほうれん草をくれた。

6月30日(水) 雨時々曇
朝 ごはん、じゃがいもとキャベツ味噌汁、わかめと玉ねぎサラダ、まぐろ罐詰、大根おろし。
昼 ごはん、オムレツ、清し汁、トマト。
夜 釜あげうどん、プリンスメロン。

主人はおそばを4、5人の客と食べていた。

主人は「ワグナーをきいていたら霊感が湧いて、小説の題を2つも考えてしまった」と言った。大岡さんは「貸してやるから持っていっていいよ」とおっしゃった。大岡さんは「タダでこのレコードは貰ったけれど、本当は14万円ぐらいするぞ」とおっしゃった。
お刺身を御馳走になった。楽しかった。

7月10日(土) 快晴
午前中、朝霧高原へ主人を乗せて行く。帰り、河口湖一周、サニーデで昼食。カレーライス(主人)、ミックスサンド(私)、660円。
(中略)
夜 ごはん、とろろ汁、塩鮭、大根葉漬物。

7月14日(水) 快晴
朝 ごはん、ベーコンオムレツ、牛肉そぼろ、味噌汁。
昼 とろろ汁、ごはん、塩鮭、トマトサラダ。
夜 卵のおじや、牛肉そぼろ。
陽ざかりに草刈りをする。夕方も草刈りをする。顔が火傷をしたように熱い。あまりながくしていたら気持がわるくなる。やめたら癒った。

7月15日(木) 快晴、夕方雨
朝 ごはん、味噌汁、うに、のり、卵、いわし大和煮。
昼 パン、野菜スープ、トマト。
夜 ごはん、コンビーフ、たたみいわし、おひたし、清し汁。

7月16日(金) 快晴
朝 ごはん、味噌汁、大根おろし、佃煮、卵、のり。
昼 うどんバター炒め。
夜 ごはん、とろろ汁、塩鮭。
(中略)
お盆なので仏様に作ったから、と大きなおはぎを4つ下さる。おはぎは本当においしかった。のどをすべるように入っていった。主人は1つ食べた。私は3つ食べた。

武田百合子著『富士日記』より