たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

富士日記(54)すいみつ桃、ぶどう、プリンスメロン

このあたりを読むと、山梨の甘い果物も糖尿の原因になったのではという感じ。

田中角栄の拘置所食は理想的では。

6月30日(日) 雨
朝 麦ごはん、けんちん汁、とりささみバター焼、紫キャベツ酢漬、プリンスメロン。
昼 トースト、とりスープ、果物ゼリー。
夜 麦ごはん、とろろ汁、鮭、茄子しぎ焼。

7月1日(月) 終日雨
朝 麦ごはん、オムレツ、いんげんと玉ねぎサラダ、じゃがいも味噌汁。
昼 パン、ビーフシチュー、紅茶、プリンスメロン。
夜 天ぷらそば(桜海老かき揚げ)、ほうれん草おひたし。
雨がやんだとき、リスがきておせんべいのかけらをくわえてゆく。
午前中、「山梨県全県ママさんコーラス発表会」を山梨テレビで長時間やる。
(中略)
主人も私も食堂の椅子に腰かけて、ずーっと見ていた。

7月2日(火) 終日雨
雨が降り続きながら、一日ましに緑が濃く拡がって、家にかぶさってくるようだ。
朝 麦ごはん、チキンカツ、キャベツ塩もみ、トマト、茄子味噌汁。
昼 ホットケーキ、野菜スープ。
夜 麦ごはん、きんぴらごぼう、けんちん汁、納豆、海苔、うに。

夕方、向いの寮の奥さんが庭に現われる。車に乗せてつれていってもらったお礼だと、鮭の燻製とからすみ、羊かん、ビール3本を持って。
花子より、必要郵便物を入れた速達便届く。

7月15日(月) くもり、暑し
朝 麦ごはん、味噌田楽、ささみつけ焼、きんぴらごぼう、紫キャベツ塩もみ。
昼 ざるそば。
夜 麦ごはん、まぐろ煮付、くこおひたし、かきたま汁。

●昭和51年

談合坂のドライブインでシューマイと幕の内を買う。600円。今年は隣りのTさんも留守番がみつかったらしく、家を開けている。庭には赤いなでしことデイジー、マーガレット、つりがね草、あざみ、のばら、月見草が盛り。
昼 買ってきた弁当。
夜 ホットケーキ、スープ、グレープフルーツに蜂蜜かけ。

7月24日(土) くもりのち晴、一時雨
9時起きる。くもり空。枕が高かったので頸が痛い。
朝 麦飯、味噌汁(なす)、さんま干物、大根おろし、佃煮、グレープフルーツ。
昼 サンドイッチ、紅茶。
夜 うどん、みょうがとかきたま汁、スイカ、かぼちゃ甘煮、ぶどう、しらすときゅうり酢のもの。

朝 味噌汁(豆腐)、麦飯、じゃがいもとなまり煮付、豚ロースバター焼、キャベツ酢漬、スイカ。
昼 とうもろこし、ぶどう。
夜 パン、中華風スープ、じゃがいも、キャベツバター炒め、大根菜漬もの。

7月26日(月) 快晴
朝 麦飯、味噌汁(みょうが、豆腐)、とりささみバター焼、なすしぎ焼、きゅうり油酢漬、キザミ味噌漬。
夜 サンドイッチ、コーヒー、サラダ、ハム、とりのだし野菜スープ、黄桃シロップ煮、大根菜漬もの、ぶどう。
主人、大根菜の漬ものをおいしいと言う。毎日食べたいと言う。

夕食 パン、牛肉ロースバター焼、じゃがいも、いんげん、にんじんバター炒め、紅茶、グレープフルーツ。

7月28日(水) 晴
朝 麦飯、味噌汁、納豆、さばみりん干し、大根切干と豚肉がんもどき煮付、きゅうり中華酢漬、ぶどう。
夕食 麦飯、牛肉とねぎだけのすきやき風、きゅうりとしらす三杯酢、パイナップル。

7月29日(木) 晴 時々くもり
田中角栄は拘置所で麦飯と一汁一菜の朝飯で元気にしているとテレビでいった。田中角栄はとても丈夫なのだ。
朝 麦飯、さけ罐、大根おろし、きゅうり酢のもの、卵。
夕飯 パン、ビーフシチュー、すいみつ桃、ぶどう。
主人、冷やしすいみつ桃がおいしいと言う。ぶどうもテレビをみながらずっと食べている。

7月30日(金) くもりのち晴、風涼し
朝起きぬけに、花畑のまんなかで髪の毛をとかしているといい気持だ。
朝 麦飯、じゃがいもベーコン炒め、さばみりん干し、のり。
夕食 麦飯、豚ロースしょうが焼、いんげんとじゃがいも添え、トマトときゅうりのサラダ、切干大根とがんもどき煮付、スイカ。

武田百合子著『富士日記』より