たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

桐野夏生『ハピネス ハピネス・ロンリネス』タワマンの食生活

本筋に関係ないけど、高〜いビルに住みたがる人の気がしれない。
高〜い集合住宅で育つ子と土のそばの一軒家で育つ子では人生観が全然違うだろうな(どっちのほうがいいという話ではない。もちろん)
昔、一瞬不動産の広告を作っていたことがあった。
まだ入居前でがらんとしたマンション内コンビニは、結局採算がとれず短期間で閉店したという。
たぶん、この小説のタワマン住人と違って、「賢い」消費者が多かったのではないか。

有紗は洗顔もせず、ジャージ姿のままで冷蔵庫からキャベツとネギを取り出して刻み始めた。迷った末に、嫌いなニンジンも少し加える。小鍋でインスタントラーメンを煮て、刻んだキャベツとニンジンを入れる。ネギは花奈が食べられないので後回しにし、卵を1個割り入れて搔き回す。途端に腹が鳴った。今日の朝食は野菜ラーメン。勤め人の夫がいない日常は、気楽で自堕落で、怠惰にしようと思えば、いくらでも怠惰に流れていく。
有紗は、野菜ラーメンをミッフィーの描かれた食器に取り分けてから、花奈に声をかけた。
(中略)
「花奈ちゃん、朝ご飯食べよ」
花奈は、未練がましくテレビ画面を振り返り振り返りしながら、食卓にやって来た。だが、野菜を見て顔を背けた。有紗は、娘の野菜嫌いを今のうちに矯正したいと思っているが、花奈は元々食が細い上に、好きな物しか食べたがらない。
「ラーメンいや」
花奈が自分の器を押しやった。
「どうして嫌なの」
当然の反応に驚きもしない。
「におい、いやなの」
(中略)
「かなちゃん、おにく。おにくがたべたい」
「え? お肉って何のお肉。お肉なんか好きだったっけ」
有紗は、花奈の小さな手に幼児用のフォークをねじ込みながら聞く。
「あのね、ジュウジュウしゅるの」
花奈が小さな掌をひらひらとさせた。夏に実家の両親と行った、北千住の焼肉屋のことらしい。
「焼肉なんかしょっちゅう食べてたら、おでぶになるよ、花奈ちゃん。カロリーが高いから、おでぶになっちゃうよ」
(中略)
花奈は満足そうに笑ったものの、さも気乗りしない様子で、ラーメンをすすり始める。有紗は、箸で花奈の小さな口の中にキャベツを入れてやった。

中には、全員の分のミカンと、自分たち用のペットボトルを入れた。
(中略)
とはいえ、いぶママは、ちゃんと人数分の手作りクッキーなんかを持って来てくれる、そつのない人間でもある。
(中略)
誰も、有紗のミカンには気付かない様子だった。
「あたしも見たことないですね」
そう同意しながら真恋ママが、タッパーウェアの蓋を開けた。キウイとメロンが綺麗に並んでいた。色とりどりのプラスチックの楊枝が刺してある。
「あ、よかったら食べてください」
「すみません。あたし、何も持って来なかった」
美雨ママが詫びながら、先に手を伸ばしてキウイを取った。
「どうぞどうぞ」と真恋ママが勧めた。「花奈ちゃんママも遠慮しないでどうぞ」
有紗は礼を言って、キウイの端っこを食べた。冷えていて美味しかった。自分の持って来たミカンは安物だから、粒が小さくて酸っぱそうだ。気後れして勧めることができずにいる。すると、いぶママが、ナプキンでくるまれた包みを出した。
「お昼前だけど、ちょっといい出来だったから食べてみて」
手作りのバターケーキ。わーっと歓声が上がった。ほんのひとくちずつ、綺麗に5等分されている。有紗は、ますます居たたまれなくなった。キウイやメロンやケーキの後で、ミカンはさぞかし酸っぱく感じることだろう。仕方ないから、そのまま持ち帰ろうと思う。
(中略)
花奈はシャベルのことを言わないだろうか。そして、朝からインスタントラーメンを食べたことを。
(中略)
「ミカン頂くわね」
いぶママが、有紗の持って来たミカンを握って言ったので、ほっとする。他のママも、釣られてミカンを手にしてくれた。

「あのね、花奈ちゃんが今寝ちゃうとさ、ママも花奈ちゃんも食べる物がないの。だから、頑張って起きて、一緒に食べに行こうよ」
花奈は半目になって、呟いた。
「ラーメンいや」
有紗は苦笑する。
「ラーメンしないよ。おにぎりにしようか。一緒にアオキにお買い物行こう」
アオキまで行くのが無理なら、1階のコンビニで、おにぎりでも買って来よう。

有紗は居たたまれなくて、花奈の世話に没頭するふりをしている。幸い、花奈が食べている「ミラノ風ハンバーグ」は、トマトソースがあちこちに飛び散るので、始終、花奈の手や口を、お絞りやナプキンで拭ってやる必要があった。
晴子は無言でサラダを食べている。節の目立つ細い指が、フォークを器用に操ってレタスを畳み、胡瓜やブロッコリーと一緒に突き刺して、素早く口に運んで行く。
(中略)
それから腕を伸ばして、夢中でハンバーグを食べている花奈の前髪を撫でた。花奈の前で、その話をしたくない、というジェスチャーにも見えた。
「花奈ちゃん、お利口さんね。よく食べること」
晴子に褒められた花奈が、得意そうに笑った。さっき拭いたばかりなのに、口の周りをトマトソースで赤く染めている。花奈は昼ご飯を抜いたせいか、珍しく、旺盛な食欲を見せていた。お子様ランチでは嫌だ、と言うので、大人のメニューを頼んだほどだ。

新たに作るのが億劫なので、昨夜のカレーを朝食にするつもりだ。が、神経質な花奈は朝のカレーを嫌うかもしれない。トーストにして、芽玖ママから貰った手作りのイチゴジャムを塗って食べさせようかと迷う。
しかし、自分たちは「公園要員」に過ぎない、と美雨ママから聞いて以来、何だか癪に触って、芽玖ママのジャムさえも疎ましいのだった。せっかくの手作りジャムも、冷蔵庫の奥深くに突っ込まれたままになっている。

有紗が声を荒らげた途端、カレーの焦げる臭いがした。有紗は、慌ててガス台に走ったが、カレーはすでに鍋底に焦げ付いている。横に花奈がやって来て見上げた。
「カレーいや」と、はっきり言う。
「わかってるよ。ママも嫌だよ」
有紗はささくれた気持ちで、卵を茹で始めた。冷凍庫から食パンを2枚出して、オーブントースターに入れる。
花奈は、インスタントスープに、茹で卵とトマト、イチゴジャムをたっぷり載せたトーストを食べながら、満足した様子だ。だが、有紗は紅茶を飲みながら、不快さを拭えなくて苦しんでいた。

「花奈ちゃん。これから、このお姉ちゃんと一緒に行って、美雨ちゃんと遊んでてね。おばちゃん、唐揚げを用意しておいたからさ。それ食べてね」
「すみません」
花奈には、昼過ぎに焦げを取ったカレーを食べさせたきりだった。どうせお菓子を食べて入らないだろうと踏んでのことだったが、美雨ママがそこまでこまやかだとは思わなかった。

居酒屋に足を踏み入れた有紗は、魚を焼く強烈な臭いと、白い煙がもうもうと店中に立ち込めているのに驚いて立ち竦んだ。客の前に、それぞれ小さな七輪が置かれて、客が自身で魚や貝を焼いている。壁には、「ホッピー!」「自家製コロッケ!」「ブリカマ!」など、朱文字で書かれた大きな紙がベタベタと貼ってあった。
(中略)
料理はトモヒサが見繕ってくれることになった。火を熾した七輪が、2人の前にぽんと置かれた。顔だけがかっと熱くなった。
トモヒサが、生ビールふたつとワケギのヌタの小鉢を運んで来た。小鉢をちらっと覗いた美雨ママが言う。
「あたし、あん肝が好きなんだからね」
「わかってるなら、持って来いよ」
「じゃ、金払え。これはお通しだ」
(中略)
そこに、トモヒサが魚介の載った大皿を運んで来た。ハマグリやブリカマ、シシャモ、椎茸などがふたつずつ載っている。美雨ママが手際よく、七輪の網に載せて焼き始めた。
(中略)
「失礼だな、そいつ」
そう呟きながら、美雨ママがビールを飲み干して、ウーロンハイを注文した。有紗も真似て同じものを注文した。どうしてもペースが速くなるのは、帰りの時間が決まっているからだろう。
ハマグリがぽんと口を開いた。それぞれ小皿に取って、醤油を少し垂らして食べる。しばしの沈黙の後、美雨ママが尋ねる。
(中略)
あん肝と、赤貝の紐と胡瓜の和え物が運ばれて来た。トモヒサは2人の邪魔をしないように、鉢を置いてさっさと去って行く。
(中略)
子持ちシシャモから煙が上がっている。有紗は割り箸で慌てて引っ繰り返したが、片面が無残に焼け焦げていた。有紗は皿に取ってから、イカの切り身とシシトウと載せた。

初デートは、銀座の鮨屋だったの。勿論、TAISHO鮨チェーンなんかとは比べものにならないような高級な店だった。あたしは、一生懸命働いているダンナのことを思い出したよ。あの人はこういう店でシャリを握ることは一生ないし、こんな高級マグロを切ることもない。なのに、あたしは他人の亭主と美味い鮨を食ってるんだって。

有紗は、俊平に生春巻を勧めながら言った。1人1本は当たるはずだが、皆、話に夢中なふりをして、食べようとはしなかった。
(中略)
1本ずつ生春巻を頬張り、共犯めいた顔で笑い合う。それから、春雨サラダをひとくち食べて、『これ、辛ーい』と大袈裟に声を上げて眉を顰めた。俊平も同じ皿に箸を伸ばして『あ、ほんとに辛いね。駄目だ、俺、汗出ちゃう』と言ってくれた。
互いに食べ、飲み、それから2人は仕事の話をした。

材料の品質基準を確保するために、農民世帯が材料開発に参加する材料ゾーンに収集および前処理施設を建設する。

実家は、伊勢の方の牛肉屋で、以前、実家の商品だという、牛肉の佃煮を貰ったことがあった。そのせいか、豊かな感じがした。

「そうそう、持ち寄りでどうかしら。ローストチキンと、ロールサンドとかでいいんじゃない。あとケーキ焼いて。サラダも要るね」

「花奈ちゃん、お昼ご飯、ららぽに食べに行こうか。サンドイッチとかグラタンとか。あ、ツルツルのおうどんでもいいよ。お稲荷さん付けてもらって。花奈ちゃん、お稲荷さん、好きでしょう? きつねさんの甘ーいご飯だよ」
花奈は迷っているらしく、しばらく返事をしなかった。もともと家の中で一人でも退屈しないで遊んでいる子供だから、雨の中の外出が億劫なのだろう。

バナナやおにぎりを籠に放り込んでいると、携帯が鳴った。またも非通知だ。

芽玖ママを見かけた日、花奈と天麩羅うどんの夕食を食べている時、姑の晴子から電話があった。

紅茶とハムトースト、トマトサラダの朝食を摂っている時、メールの着信音がした。いちはやく花奈が、携帯電話を持って来てくれた。有紗がメールを開く間も、「ね、だれからめえる。だれからめえる」とうるさい。

大衆的ブランドのシュークリームの箱と、駅の売店で売っているような幼児用の絵本が2冊は言っていた。

「寂しいような、嬉しいような」有紗はそう呟き、陽平が持ってきてくれたシュークリームをひとつ頬張った。とてつもなく甘く、柔らかかったが、下の両端に微かな苦味が残った。

「あとね、聞きたいことがあったの。花奈ちゃん、白身のお魚だったら何が好きなの」
白身魚。有紗は一瞬、気の利いた答えを探したが、知識がないので思い付かなかった。滅多に魚料理をしないからだ。
「カレイとか?」
「カレイ? あら、贅沢な子ね」
晴子は上機嫌で笑った。遠くの方で、陽平と喋っている花奈の声が聞こえた。有紗は花奈と話したくてうずうずした。
「でも、花奈はお肉の方が好きだと思います」
「本人もそう言ってたわ」

6時に銀座1丁目のインド料理、『カイバル』でどう。
あそこのビリヤニ、うまいよ。
たまには辛い物食べたい!
YOKO

店も知らないし、ビリヤニが何かわからないが、ときめくものがあった。辛い大人だけの食事。

「笑っちゃうんだけどさ。今日は、『いい夫婦ごっこ』してるの。だから、いぶきは芽玖ちゃんのところでお好み焼き食べてる。あたしたち、これから二人でお食事なのよ」

美雨ママがメニューを見ながら、適当に料理を頼んでくれている。「カレイの煮付け」という語が聞こえて、有紗は姑に吐いた嘘を思い出し、苦い顔をした。

美雨ママが意外に器用な手付きで、ブリ大根を箸で分けながら呟いた。有紗は小さな声で続けた。

花奈はとっくに起きて、ホイップクリームやフルーツを盛った、晴子特製のパンケーキでも食べていることだろう。
誰に見せても、知られても、恥ずかしくない食事。それは、家族同様、自分がうまく作れなかったもののひとつでもある。

朝からインスタントラーメンを食べさせた時の罪悪感。食の細い花奈はどうせ食べないからと昼食を抜いた時の罪悪感。コンビニおにぎりだけの食事で済ませた罪悪感。野菜料理がひとつもない時の罪悪感。罪悪感だらけの自分。

手の込んだおかずに可愛い服。そして、ホイップクリームやフルーツを盛った朝の香ばしいパンケーキ。

新潟駅には、昼過ぎに到着した。2人は万代橋の方に出て、有紗も知らない新しい店で名物のへぎ蕎麦を食べた。「こんなの初めて食べた」と美雨ママは喜んでいたが、有紗は知り合いにでも会いそうで気が気ではなかった。
蕎麦屋を出ると、雨はいっそう激しく降っていた。

母から聞いた話では、瀬島農園は梨もぎや葡萄狩りなどの体験農園を始めて観光客を呼び込んでいるという。食堂も作り、ラーメンや蕎麦、ジンギスカン鍋を食べさせたり、最近はバーベキュー施設も作って、持ち込み可で手広くやっているのだそうだ。

タクシーに戻ろうとすると、手の中に紙袋を渡された。
「うちの『ル・レクチエ』だよ。洋梨。ふた箱あるからお友達に」

「花奈ちゃん、今ね、お祖父ちゃんとお菓子買いに行ったの。あの長いドーナツみたいなの何て言うの?」
「チュロスですか」
「そうそう、それね。帰って来たら、こちらからかけるわね。なにせ、ここから動くなって言われているから、待つしかないのよ」

午後になると、少し気分がよくなった。有紗は、紅茶にたっぷりの砂糖とミルクを入れて飲み、やっとの思いで洗顔を済ませた。

有紗は、冷凍うどんを煮て、やっとの思いで半分食べた。

「いえ、夜は用事があるので、お昼に伺います」
「あら、そう」晴子はがっかりした様子だった。「じゃ、天麩羅蕎麦か鰻にしますね」

食卓には、漬け物や吸い物椀も出ていた。キッチンのカウンターに鮨桶が見える。有紗の視線の先を見た晴子が、言い訳する。
「花奈ちゃんがお鮨が好きって言うから、お鮨にしたの。いいでしょ?」
「すみません」
花奈を膝の上に抱いて頭を下げた。
「ママもおしゅし、しゅきだもんねー」
花奈が回らない口で言うのが可愛くて、背中から抱き竦めた。何があっても離さないと思う。
「で、どうなさるおつもり?」
吸い物椀に出し汁を張りながら、晴子が早速訊ねてきた。

目の前に鮨桶が置かれる。花奈のは、アンパンマンが描かれた子供用の桶だ。巻物がメインで、唐揚げやタコウィンナーも入っている。花奈が子供用のフォークを握った。花奈の膝にタオルを広げながら、晴子が訴える。
(中略)
陽平が、3人のワイングラスにスパークリング・ワインを注ぐ。
(中略)
有紗は、グラスに口を付けた。昂奮しているのか、微かな泡が舌先にぴりぴりと感じられるだけで、味はわからなかった。初冬の午後の弱々しい光にグラスを透かしてみる。勢いがなくなった金色の泡が、浮かんではすぐに消えていく。
「ねえ、お鮨だってまだ残っているのよ」
晴子が首を伸ばして鮨桶の中を覗いた。その年寄りめいた仕種に胸が痛んだ。以前は、美しい晴子が威圧的に感じられたのに、今日は寂しい老女に見える。
「はい、頂きます」
一度は置いた箸を再び取り上げた。食欲はないが、せめて最後の昼餐を機嫌よく過ごさねば、と思い直す。
「花奈ちゃん、アイスもあるんだからね」晴子は冷蔵庫を指差した後、振り向いて有紗に聞いた。「あんまり食べさせたら、お腹こわしちゃうかしら?」
「かなちゃん、アイスいまたべる」
有紗が答える前に、花奈が慌てて遮ったので皆で笑った。花奈にアイスクリームのカップを渡しながら、晴子が弁解した。
(中略)
「だけど、時々は花奈ちゃんの様子を知らせてちょうだいね」
晴子が、アイスクリームを一心に食べている花奈の横顔を愛おしげに見た。

「いいよ。後でメシ食いに行くだろう?」
有紗は返事をせずに、お茶を淹れるためにキッチンに立った。
「久しぶりにうまい蕎麦が食べたいな」と、俊平がのんびりと独りごちた。
(中略)
「いいなあ。俺、あそこの鮨、好きなんだ。アメリカでも、何度も食いたいと思った」
「アメリカにはたくさんあるんでしょう?」
「いや、銀寿司の穴子は絶品だよ」
「じゃ、ららぽのお鮨屋さんに行く?」
「だって、今日食ったんだろう? だったら、違うものにしようよ」
(中略)
結局、ららぽーとの中にある蕎麦屋を選んで、奥の席に座った。俊平と有紗はビールを注文し、花奈にはジュースを取ってやる。

「俺、コンビニでおにぎり買うよ。飯、食いたい」
俊平に付き合って、タワマンの1階にあるコンビニに寄った。俊平は、ついでに缶ビールとワインも買い込んで満足そうだ。
(中略)
缶ビールを飲みながら、コンビニの握り飯を齧る。

ワインは軽くて飲みやすかった。俊平が選んだチーズ味のクラッカーをつまむ。

テーブルの上に、昨夜、俊平が買ったお握りが数個載っている。梅干しを選んで包装を剥がす。食欲はなかったが、無理やり食べようと思う。

「銀鮨食べたよ」
「穴子どうだった」
「旨かった」

「懐かしい。俺、花の中で桜が一番綺麗だと思うよ。ああ、早く日本に帰りたいな。『初音』のタンメン食いてえ」
桐野夏生著『ハピネス ハピネス・ロンリネス』