たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

絵に描いたようないじめ『殿下とともに』

東宮侍従を務めた「オーちゃん」が今上天皇の婚礼を前に綴った手記で、雅子さまに一歩下がることを知恵として伝えなかった宮内庁や災害のお見舞いに動かない皇室への「苦言」は、賛同するか否かは別として今はもうこれほど親身な提言ができる人はいないだろうと思うと、皇室の孤独が気の毒になる。

浜尾氏の身内談として娘のひとりが修道女になったというくだりは短いが驚きが多かった。子息が修道会に入った親の手記を読んだのは初めてだ。
少なくとも、戦後、ヴァイニング夫人と浜尾氏というキリスト者が天皇の教育者として入ったことは日本にとって僥倖だった。

で、美智子さまのご苦労についても章が割かれているのだが、↓これヤバすぎ。『キャンディ♡キャンディ』かよ...。

さらに、皇族の確執は、そのままお仕えする侍従や女官どうしの鞘当てにもつながります。
たとえば、皇后さまが皇太后さまのお好きな料理を作ってさしあげようとして、侍従を通じて、皇太后さまのお好きなものをうかがったとき、皇太后さまの侍従はわざと皇太后さまの嫌いなカボチャを挙げたのです。皇后さまの侍従はそんなことは露とも知らず、それを皇后さまにお伝えする。皇后さまは心をこめてパンプキン・ケーキをお作りになりましたが、もちろん、皇太后さまのお気に召すはずがありません。このときは、幸い事前に皇太后さまのお好みを知っている方が「このケーキは差し上げないほうがいいです」と申し上げたのでことなきを得たのですが、そんな例はたくさんあります。

浜尾実著『殿下とともに』より

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