たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

ごはんを作ってくれる友達『盲目的な恋と友情』

そういえば私も一時期大学オケでバイオリンを弾いていたのだった。
どこかのセミプロの人が指導に来てくれていたのも同じだ。
今の日本で学芸員さんになれたのはすごいけど、生きていけない給与やん、と余計な心配もした。

気張って材料を用意するような料理ではなく、冷蔵庫にあるものに、買ってきた肉や魚を少し足してあたたかいご飯を用意してくれた留利絵に、感謝している。

その夜、再び夕食の席で顔を合わせた時、蘭花はもういつも通りだった。私が作った麻婆ナスやスープの並んだ食卓を見て、「わあ。留利絵ちゃんの作る辛いメニュー、私、好き」とあっけらかんとした声を聞かせる。

辻村深月著『盲目的な恋と友情』より