たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

母さんと安倍『大草原の小さな町』(1)

ワイルダーがキャンセルされるようになった昨今ではなく、90年代の子どものときに読んでも「こういうことを地の文で書いてはダメなのでは」と十分ドン引きさせられた部分。
改めてこだま・渡辺訳で読んでみて、この母さんの「インディアン」についての言い草は何かに似ているなーと思ったらアレだ。慰安婦問題に対する政府の態度をただされるたびに「基本的には河野談話の立場を引き継ぐ」と奥歯に物が挟まったような言い方を繰り返した安倍だ。

母さんは、きれいにあらった古いテーブルクロスを、外の日当たりのいい場所にしいて、その上にとうもろこしのつぶを広げた。それから、むくどりやひよこやはえがたからないように、もう一枚べつの布をかぶせた。暑い太陽でからからにかわいたとうもろこしは、冬になったら、水でもどしてからゆでると、おいしく食べられる。
「これは、インディアンが思いついたんだよ」と、昼ごはんに帰ってきた父さんがいった。「キャロライン、まだみとめないのかい。インディアンにもいいところがあるだろう?」
「あったとしても、あなたが何回もおっしゃってくださったから、わたしがいう必要はないでしょう」
と、母さんはこたえた。母さんは、インディアンが大きらいなのだ。

ローラ・インガルス・ワイルダー著、こだまともこ・渡辺南都子訳『大草原の小さな町』より