たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

富士日記(34)しまおまほ「加計呂麻日記」

中巻収録のしまおまほ氏の巻末エッセイから。私と同様、「食事の覚え書き」を楽しく読まれている様子。

カントリーマアム、小さくなったよね~。最近はめっきり粉菓子を食べたいと思わなくなったが、昔はレンチンして食べるのが好きだった。イチゴ味も。

係員のお兄さんからくしゃくしゃにヨレたビニール袋を手渡された。中を覗くとカントリーマアム4枚。ワッと4人の手が伸びる。
(中略)
食事の覚え書きは食欲を刺激する。朝食は朝の気分で、夕食は夜の気分で読んでいる。朝食の和食に「のり」がついていると嬉しい、時々のホットケーキが待ち遠しい。山芋を買った日はなんだかご褒美をもらったような気分。さっき空港のソファーでファストフードを掻き込んだのが、わたしの朝食。
(中略)
機内販売のカルピスでお茶を濁すことにした。

5月4日
朝、トースターがないのでトーストはフライパンで作る。6枚の食パンを重ねて塔を作り、弱火で焼く。下のが焼けたら焼けた面を上にして塔の一番上に乗せる。母のやり方。それを見てU子さんが「変な焼き方!」と笑っていた。
(中略)
昼食に郷土料理の鶏飯を食べて、古仁屋港へ向け出発。

客席の端っこにある座敷スペースであぐらをかき、みんなで宿からもらったアルミホイルを開けた。オニギリは胡麻油を塗ったごま塩ものと梅干しの入ったもの、たくあん、つきあげ、りんご一切れ。

武田百合子著『富士日記』より