たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

Entries from 2023-03-01 to 1 month

美味しそうなものが出てこない『アメリカの素顔』

ちらほら原文を確かめたいところがあるが、この30年以上前の名著には電子版がない。だが民族や日本に関する記述を見てもわかるとおり、読みつぐには内容が古すぎるので図書館で調べるほどの熱意はない。 ありふれたじゃがいもを取りあげてみよう。今日万人の…

生牡蠣でリーダーシップを『ハーバード・ジュリアードを首席卒業した私の 「超・独学術」』

2020年のロックダウン中、YouTubeで日本のワイドショーを流し見するようになったときに、「えっ、なんでこの人がワイドショーのコメンテーターやってるの?いくらパンデミックでも仕事選びなよ...」と思った人が何人かいて、著者もその一人。 この本は良い本…

『噛みあわない会話と、ある過去について』←orz

ふらふらと松屋やジョナサンに行った東京の徹夜明けを思いだす。あの朝も、あの朝も、あの朝も、すごくよかった。今はあのゴミゴミした街で一晩過ごしたいとは到底思えないけれど。 トローチの一気食いの例は知らないが、今はなきシーズケースのタブレットを…

土のスープ『すべて真夜中の恋人たち』

冒頭はムラカミへのオマージュだろうか。聖の語りはところどころムラカミ臭がする。インタビュー集『みみずくは黄昏に飛びたつ』は好きでよく読み返す。 みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫) 作者:川上未映子,村上春樹 新…

米国でテリヤキバーガーを食べるなら『鍵のない夢を見る』

先月辻村氏を知って湊かなえ氏以上の多作ぶりに驚いている私としては、巻末の林真理子氏との直木賞対談の「今回の受賞は、この先もきっと小説を書いていくだろうと信頼していただけたからなのかもしれないと思うようにしています」が印象に残った。 林氏がど…

なつかしのFlashサイトか?『太陽の坐る場所』

筋にあんまり関係ないが、ウェブデザインを見てデザイナーを特定できる、というのは無理がある。2000年初め、ブログ登場までならまだギリギリそういうこともあったかな。でも出版されたのは2011年、レスポンシブデザインはまだ普及していないが、とりあえず…

『傲慢と善良』密林に感謝

スペイン語ばかりが聞こえてくるランドリーで、東北の被災地のサンクチュアリを頭の中に再現して読了。辻村深月氏の作品は初めて手に取ったのだが、久しぶりにアマゾンのリコメン機能に感謝した。娯楽読書が好きでよかったなぁと思わされた。いつか映像化さ…

熱源でしかない食物『路上のX』

桐野作品の中ではあまり楽しめなかったのだが、仁藤夢乃氏の解説がよかった。食の貧しさが心のすさみに直結しているのが伝わってきてつらい。自炊のみならず、かれらが選ぶ外食もことごとくチャチくてまずそう。ごくまれにまともな食事を出されるとかえって…