たべもののある風景

本の中で食事するひとびとのメモ帳2代目

Entries from 2024-01-01 to 1 year

新潟の絶品『BUTTER』(10)

あまり知られていないうまそうすぎる新潟土産のコーナー。 さっき駅構内の専門店で一緒に頬張った、熱々のおむすびの匂いが残っている。伶子の具はしゃけ、里佳はすじこだった。我ながらあきれるくらい、簡単に食欲は蘇っていた。 土産物の袋を覗き込み、バ…

セサミチキンとSpaghettiO "Evicted"

Matthew DesmondのEvictedの邦訳が出たと聞き、さすが採算度外視の日本語翻訳出版界!と感嘆・感謝するのと同時に、遅っ、と思わざるを得なかった。紹介されないよりはるかにいいし、決してこの本に書かれた貧困の状況が大きく変わったわけではないとはいえ…

赤飯文化『BUTTER』(9)

初潮のあとの赤飯ムーブはほんとにきもいと思ってた。玉姫殿なき今、赤飯=めでたい、ごちそうというイメージは残っているのかな。そもそも炊ける、自宅で炊くなどということを思いつくご家庭も減ってそう。 お茶請けとして出されたのはセロファンで包まれた…

ご飯屋さん『BUTTER』(8)

新潟のご飯屋さんの記述に、京都の八坂さんの前の通りを跨ぐほどの長蛇の列を思い出した。並んだわけではない。 あちらでは冠婚葬祭で食べるらしい「プラリネ」というケーキ、レーズンとバタークリームの渦巻きパン、ル・レクチェの羊羹、佐渡バター、父親が…

手作りお菓子のプレゼント『BUTTER』(7)

手作りお菓子は美味しいものしかいただいたことがない。自信がある人しかやらないからだ。ところでたまーに「手作りに抵抗がある」という人に実際に会うが、それって口に出して言っても何もいいことないのにね。 「そうね、なら、甘ったるいチョコレートでは…

元気の出ないレストラン『BUTTER』(6)

「カロリー低い」味気ないレストランといえば、SATCの火を通さない食事のみを出すヒップなプレイスを思い出すな。サマンサとスミスが出会った場所な。 オーガニックの貴腐ワインは水のようにするすると入っていく。 「ほら、ここはカロリー低いから、いくら…

ディズニーランド的レストラン:ジョエル・ロブション『BUTTER』(5)

恵比寿ガーデンプレイス、911が起こった頃にあのへんに通っていた。形だけの警備が増えて情けなかったのを思い出す。 「だから、本物の男の人が女性本来のグラマラスな美を理解できるように、本物のフランス料理はちゃんとたっぷりバターを使うのよ。甘さ控…

餅の食べ方『BUTTER』(4)

こないだ日本で切り餅をたくさん買ってきた。もちろん、バター醤油で食べている。ただし、砂糖は家にないのでハチミツを使用。 さらに今年はサウスベイの人の心尽くしのおせちもいただくことができた。栗きんとんが入っていなかった。 飲み過ぎで足取りのお…

小菅の食事 ★★★『BUTTER』(3)

小菅の食事が結構美味しいらしい、というのは佐藤優氏の話からもうかがえた。確かに麦が混ざってるとも書いてあった。ヘルスィー。ちなみに私の小学校の給食も麦ご飯だったよ。何の問題もなかったよ。 「もうすぐクリスマス。1年で一番街が華やぐこの季節が…

たらこパスタ『BUTTER』(2)

「カジマナのたらこパスタ」作ってみたいけど、紫蘇がたっかいんだよな。日本の実家ではいやってほど庭に生えてるのに。たらこはHマートにあるかな。 パスタが茹で上がったようだ。スマホに設定しておいたアラームの音で、里佳はパソコンのデータ原稿から目…

実家もバターにのりかえた『BUTTER』(1)

いったんバターに変えると元には戻れない。子どもの頃から毎朝のようにマーガリンを食べていたし、母が料理に使うのはマーガリンだったし、給食に出るのもマーガリンだったが、ヨーロッパ人の義兄がマーガリンを食べない派だったのを機に、実家もバターしか…